草根木皮みな薬
 

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三仁湯(さんにんとう)

種類 清熱袪湿剤
出典 温病条弁
組成 杏仁15g、滑石18g、通草6g、白蔲仁6g、竹葉6g、厚朴6g、薏苡仁18g、半夏10g
方解 杏仁-宣利上焦の肺気
白蔲仁-芳香化湿、行気寛中
薏苡仁-甘淡寒、滲利湿熱、健脾
滑石-甘寒淡滲、利湿清熱
通草-甘寒淡滲、利湿清熱
竹葉-甘寒淡滲、利湿清熱
半夏-行気化湿、散結除痞
厚朴-行気化湿、散結除痞
用法 煎服
効能 先暢気機、清利湿熱
主治 湿温初起および暑温挟湿、邪が気分にある。
頭痛悪寒、身重通、顔面淡黄、胸悶不飢、午後身熱、舌白不渇、脈弦細かつ濡
方意 本方は湿温初起、邪が気分にあり、湿が熱より重い症状を治す常用の方剤である。
その病因は、よく脾虚停湿と関連する。
だから、湿温初起は脾胃気滞の証を現す。
湿温初起は頭痛悪寒、身重疼痛の他に胸悶不飢等の湿阻気機の証が見られる。
その頭痛悪寒、身重疼痛は衛陽の湿邪阻遏の証候である。
傷寒に似ているが、脈弦細かつ濡なので傷寒ではないと判断できる。
湿は陰邪で、湿遏熱伏出あれば、午後身熱を現す。
舌白不渇、顔面淡黄ばいずれも湿邪の証候である。
総合的に見ると、暑湿阻遏気機、湿重熱軽の証である。
治療は袪湿清熱、宣暢気機である。
方中の杏仁は宣利上焦の肺気である。
肺は一身の気を主り、気化であれば、湿も化される。
白蔲仁は芳香化湿、行気寛中である。
苡仁は甘淡性寒、滲利利湿熱健脾である。
滑石、通草、竹葉は甘寒淡滲、利湿清熱の効果を増強する。
半夏、厚朴は行気化湿、散結除痞である。
諸薬相合、三仁相伍(杏仁、白蔲仁、 苡仁)によって、宣上、暢中滲下を果たし、気暢湿行、暑解熱清、脾気健旺、三焦通暢をさせ、諸証は治る。
利湿しながら清熱もでき、湿温初起、湿重熱軽の者に適する。
本方は、利湿清熱の作用を持つが暑湿、痺証、水腫、淋証等の湿多熱少の者をも加減して治療できる。