草根木皮みな薬
 

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四逆湯(しぎゃくとう)

種類 回陽救逆剤
出典 傷寒論
組成 生附子6〜9g(先煎)、乾姜6〜9g、炙甘草6g
方解 君-生附子-命門真火、温陽逐寒
臣-乾姜-中焦温陽、除裏寒
佐-炙甘草-益気温中、解毒
用法 附子を約1時間水煎した後、他薬を加えて煎じ、分二で温服する。
服用して嘔吐するときは冷服させるとよい
効能 回陽救急
主治 1.少陰病。症は四肢厥陰逆、悪寒踡臥、嘔吐不渇、腹痛下痢、神衰欲脱、苔白滑、脈微細。
2.太陽病誤汗亡陽。
病機 寒邪が少陰腎に侵入して陽気を衰微させ、腎陽だけでなく心、脾の陽衰を伴った状態
方解 本方は回陽救逆の代表方剤である。
素問・厥論』には「陽気衰弱で下にあれば、寒厥になる」とある。
寒邪が深く少陰に入ると、腎中の陽気が衰弱していく。
陰陽の気が相互につながらないと、外においては四肢厥逆、悪寒踡臥、神疲欲眠を現す。
内においては嘔吐不渇、腹痛下痢を起こす。
苔白滑、脈微細は腎陽衰弱の証だけではなくて心脾の陽気も衰弱して陰寒独盛の危ない症候である。
このとき、大量辛熱でないと、回陽破陰、救逆はできない。
素問・至真要大論』は、「寒淫が内にあれば、甘熱で治し、苦辛を佐とし、鹹で瀉し、辛で潤し、苦で堅くする。」とある。
だから、大辛大熱の附子を君薬とする。
附子は純陽有毒で、先天の命門真火の第一要剤であり、十二経を通り、生で使うと、特に速やかに内外を通り、温陽逐寒を果たす。
乾姜は中焦の陽を温めて裏寒を除き、附子を手伝って陽気を挙げる臣薬である。
生附子は大毒で、乾姜と併用するとその性が猛烈なので、益気温中の炙甘草を佐薬とすると解毒でき、乾姜、附子の辛烈の性を温和すると同時に、あわせて回陽急逆を果たし、暴散の恐れを避ける。
だから、方名は「四逆」という。
服用するときに嘔吐すれば、冷やしてから飲む。すなわち『素問・五常政大論』の「気反者、...熱で寒を治すが冷やしてからする」の意味である。
四逆湯証は、下痢、あるいは下痢が止められても四逆証があるのは陰血大傷のためである。
だから、四逆湯に大補元気の人参を加えると、益気固脱を果たして、陽気を復元させ、陰血を自ら生じさせる。
臨床では、四逆湯証でさらに気短、気促の者にはいずれも四逆加人参湯で応急できる。