草根木皮みな薬
 

薬膳や中医学を勉強している方、
知りたい方に送る薬膳や中医学情報

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

種類 滋陰潤燥剤
出典 金匱要略
組成 麦門冬60g、半夏9g、人参6g、粳米6g、大棗3枚、甘草4g
メモ ばかもん犯人交代か(麦門、半人粳大甘)
方解 君-麦門冬-甘寒、肺・胃陰を滋養
臣-半夏-降逆化痰
佐-人参-補益中気
使-粳米-中気健運、補脾益胃
   -大棗-中気健運、補脾益胃
   -甘草-中気健運、補脾益胃
用法 煎服
効能 滋養肺胃、降逆和中
主治 1.肺陰不足。
咳逆上気、あるいは咳吐涎沫、口乾咽燥、手足心熱、舌紅少苔、脈虚数。
2.胃陰不足。
気逆嘔吐、口渇咽乾、舌紅少苔、脈虚数
病機 肺胃陰虚で気機が上逆した状態。
胃陰が不足して津液が上承しないので口渇、口乾がみられ、胃気が和降できずに上逆すると嘔吐を伴う。
胃陰虚で虚火が肺陰を傷灼すると、肺陰も不足して肺気が上逆するので、咳こんで咳嗽が続き、痰が切れにくく粘稠である。
肺胃陰虚で咽が濡潤されず、虚火が上炎して咽が灼されるために、咽に刺激感があり乾燥する。舌質紅で乾燥少苔、脈細は、陰虚を現す。
方意 肺胃陰虧、虚火上炎、気機逆上によるものを治す。
その咽喉不利の原因は、一つは肺胃陰傷、濡潤不能のため、もう一つは虚火上炎、灼津碍気のためである。
治療は滋養肺胃陰である。
陰津が充実されると、虚火も治る。
方中に麦門冬を重用し君薬とし、その甘寒の性で肺胃の陰を滋養し、虚火を清する。
半夏は臣薬で、降逆化痰をする。
人参は佐薬で、補益中気をし、麦門冬と配伍して補気生津の効を大いに果たす。
さらに粳米、大棗、甘草で、補脾益胃をし、中気健運をさせ、津液が上へ肺に運送される。
このように胃を養い、肺を滋潤する。
全方の薬は6種しかないが、潤降相宜で、滋肺胃、降逆気を果たす。
虚熱肺痿、咳唾涎沫を治す。
胃陰不足、気逆嘔吐をも治す。