木香檳榔丸(もっこうびんろうがん)
| 出典 | 丹渓心法 |
| 組成 | 木香・檳榔・青皮・陳皮・莪朮・枳殻・黄連・黄柏各30g、大黄15g、炒香附子・牽牛子各60g |
| 方解 | 木香-行気化滞、脘腹脹満、裏急後重 檳榔-行気化滞、脘腹脹満、裏急後重 牽牛子-攻積導滞、瀉熱通便 大黄-攻積導滞、瀉熱通便 青皮-行気化積 陳皮-行気化積 香附子-疏肝解鬱、血中の気を破る 莪朮-疏肝解鬱、血中の気を破る 枳殻-下気寛腸、胸腹滞気を除く 黄連-清熱燥湿、下痢を止める 黄柏-清熱燥湿、下痢を止める |
| 用法 | 丸剤にして1日2回、毎回3〜6g服用 |
| 効能 | 行気導滞、攻咳泄熱 |
| 主治 | 積滞内停、湿蘊生熱。 脘腹痞満脹痛、赤白下痢、裏急後重、あるいは便秘、舌苔黄膩、脈沈実 |
| 方意 | 本方は飲食積滞内停、気機壅塞、鬱で化熱によるものを治す。 積滞内停、気機不暢であれば、脘腹痞満、脹痛を起こす。 湿熱内蘊と積滞が互結すると、腑気不通を起こす。 だから、大便秘結を現す。 もし、積熱下迫であれば、下痢赤白、裏急後重を起こす。 治療は行気導滞、攻積泄熱をする。 方中の木香、檳榔は行気化滞で、脘腹脹満、裏急後重を除く。 牽牛子、大黄は攻積導滞、瀉熱通便をする。 青皮、陳皮は行気化積をし、木香、檳榔を助ける。 香附子、莪朮は疏肝解鬱で、血中の気を破る。 枳殻は下気寛腸で、脘腹滞気を除く。 黄連、黄柏は清熱燥湿で、下痢を止める。 全方は行気薬と攻下薬を配伍して行気導滞、攻積泄熱の効を果たす。 それにより積滞が除かれ、腑気は通暢し、熱が積とともに去っていき諸証は治る。 本方の行気攻積の力は比較的強く、積滞内停、気機壅阻、鬱で発熱の正気腑虚の者に用いるが、弁証のポイントは脘腹脹痛、下痢赤白、あるいは大便秘結、苔黄脈実である。 虚人に投与すると、正気を傷つけやすい。 本方は枳実導滞丸より攻積破気の力が強いが、袪湿力が弱い。 だから、本方は積滞の重い脘腹脹痛の著名な証候に用いる。 |