至宝丹(しほうたん)
種類 | 涼開剤 |
出典 | 太平恵民和剤局方 |
組成 | 犀角・朱砂・雄黄・玳i・琥珀各30g、麝香・氷片各7.5g・牛黄15g、安息香45g、金銀箔各50片 |
方解 | 麝香-氷片、芳香開竅、闢穢化濁 犀角-清熱解毒 牛黄-清熱解毒、化痰鎮驚 玳i-清熱解毒 朱砂-鎮心安神 琥珀-鎮心安神 雄黄-豁痰解毒 金-重鎮安神 銀-重鎮安神 |
用法 | 重さ3gの蜜丸にして1日1回、毎回1丸服用 |
効能 | 清熱開竅、化濁解毒 |
主治 | 中暑、卒中および痰熱内閉による温病。 神昏譫語、身熱煩躁、痰盛気粗、舌紅苔黄垢膩、脈滑数および小児の痰熱内閉による驚厥。 |
方意 | 本方の諸証は、いずれも邪熱亢盛、痰濁の蒙閉心包によるものであり、神昏譫語、痰盛気粗を主証とする。 方中の麝香は氷片、安息香を手伝って芳香開竅、闢穢化濁で、開竅の効果が特に顕著である。 犀角、牛黄、玳iは清熱解毒であり、牛黄はまた化痰鎮驚ができる。 以上の芳香開竅薬と清熱解毒薬が方中の主な組成部分である。 朱砂、琥珀は鎮心安神であり、雄黄は豁痰解毒であり、以上の三薬は輔助薬である。 本方中の金、銀、朱砂、琥珀を併用するのは重鎮安神の効を増強するためである。 しかし、現在では金、銀はすでに使わず、『中国薬典』1977年版では本方が散剤として収載され、名は「局方至宝散」である。 犀角の代わりに水牛角粉を使用し、金銀箔が省略される。 本方と安宮牛黄丸、紫雪丹は「三宝」と合称され、凉開法の常用の代表方剤である。 安宮牛黄丸は清熱解毒が特徴である。 紫雪丹は鎮痙が特徴であり、至宝丹の特徴は芳香開竅である。 三方の主治、効能はよく似ているが、臨床では弁証に従い使用するか、交替で使う、あるいは結合して用いる。 |
注意 | 本方は芳香辛燥の薬が多いが耗陰劫液の恐れがあるので陽盛陰虚による神昏譫語者には適応しない。 妊婦には慎重に用いる。 |