草根木皮みな薬
　

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神農本草経(下品)

No. 名前 読み 味/性 説明 主治
241 孔公孽 こうこうけつ、こうこうげつ 辛/温 鍾乳管の一部で基部である殷孽と石鐘乳との中間にあたる部分 主食不化、邪結気、悪瘡、疽、瘻、痔、利九竅、下乳汁。生山谷。
注)瘻−頚腫也。
242 殷孽 いんけつ、いんげつ 辛/温 鍾乳管の基部 主爤傷瘀血、泄痢、寒熱、鼠瘻、癥瘕結気。一名薑石。生山谷。
243 鉄精 てつせい 辛/平 鉄の粉 主明目、化銅。
244 鉄落 てつらく 辛/平 鉄屑 主風熱、悪瘡瘍、疽、瘡、痂疥気在皮膚中。
245 鉄 てつ 辛/平 金属の鉄 主堅肌耐痛。生平澤。
246 鉛丹 えんたん 辛/微寒 酸化鉛 主咳逆胃反、驚癇癲疾、除熱、下気、錬化還成九光。久服通神明。生平澤。
注)胃反−『金匱要略・嘔吐噦下痢病脉証治第十七』朝食暮吐、暮食朝吐、宿谷不化、名曰胃反。
247 粉錫 ふんせき 辛/寒 鉛白つまり炭酸鉛 主伏尸、毒螫、殺三虫。一名解錫。
注)伏尸−『諸病源候論・伏尸候』若発動則心腹刺痛、脹満喘急。
248 錫鏡鼻 せききょうび 酸/平 古い銅鏡の取手 主女子血閉、癥瘕伏腸、絶孕。生山谷。
注)癥瘕伏腸−『左傅・定公四年』指癥瘕生在腸中。
249 代赭石 たいしゃせき 苦/寒 赭石といい赤鉄鉱 主鬼[疒主]、賊風、蠱毒、殺精物悪鬼、腹中毒邪気。女子赤沃漏下。一名須丸。生山谷。
注)鬼[疒主]−『諸病源候論・鬼注候』人有先天他病、忽被鬼排撃、冬至或心腹痛、或悶絶倒地、如中悪之類....得之差之後、余気不歇、停住積久、有時有発動、連体停住居、乃至于死、死後注易傍人、故謂之鬼注。
賊風−此風能傷害于人、故言賊風也。
250 戒塩 じゅうえん 鹹/寒 大青塩といい石塩つまり塩湖や塩地やド土壌からとれる食塩 主明目、目痛、益気、堅肌骨、去毒虫。
251 大塩 だいえん 鹹/温 食塩 令人吐。
252 鹵鹹 ろかん 苦/寒 塩化ナトリウムと他の水溶性塩類との混合物 主大熱消渇、狂煩、除邪及吐下蠱毒、柔肌膚。生池澤。
253 青琅玕 せいろうかん 辛/平 孔雀石とされる 主身痒、火瘡、癰傷、疥瘙死肌。一名石珠。生平澤。
254 礜石 よせき 辛/大熱 硫化鉄鉱や砒鉄鉱 主寒熱鼠瘻、蝕瘡死肌、風痺、腹中堅癖、邪気、除熱。一名青分石、一名立制石、一名固羊石。生山谷。
注)堅癖−凝結、凝固。
255 石灰 せっかい 辛/温 石灰 主疽瘍疥瘙、熱気悪瘡、癩疾死肌墮眉、殺痔虫、去黒子、息肉。一名悪灰。生山谷。
注)痔虫−『諸病源候論・九虫候・蟯虫候』因蟯虫而至的痔。
黒子−『諸病源候論・黒痣候』若虚損、疵点変性、黒子者、是風邪変其血気所生。
息肉−指発生在身体局部的贅肉、俗称肉疙瘡。
256 白堊 はくあ 苦/温 カオリン 主女子寒熱癥瘕、月閉積聚。生山谷。
257 冬灰 とうかい 辛/微温 竈の灰のこと 主黒子、去肬、息肉、疽、蝕、疥瘙。一名藜灰。生川澤。
258 附子 ぶし 辛/温 キンポウゲ科の多年草、ヤマトリカブトと同族植物烏頭の側生する塊根 主風寒咳逆邪気、温中、金瘡、破癥堅、積聚血瘕、寒湿[足委]躄、拘攣膝痛不能行歩。生山谷。
注)血瘕− 『諸病源候論・産後血瘕痛候』新産後、有血気相撃而痛者、謂之瘕痛。瘕之言仮也、謂其痛浮仮無定処也。此由宿有風冷...多成積結。
[足委]躄−其意有二、一為骨折傷、二為躅。
259 烏頭 うず 辛/温 草烏といいキンポウゲ科の多年草、ホザキブシ北烏頭、烏頭、ハナトリブト華烏頭の根 主中風、悪風洗洗、出汗、除寒湿痺、欬逆上気、破積聚、寒熱。其汁煎之、名射罔、殺禽獸、一名奚毒、一名即子、一名烏喙。生山谷。
260 天雄 てんゆう 辛/温 附子が地中にあって年を経て長大になったもの 主大風寒湿痺、歴節痛、拘攣緩急、破積聚、邪気、金瘡、強筋骨、軽身健行。一名白幕。生山谷。
注)歴節痛−『金匱要略方論・中風歴節病脈証併治第五』盛人脈渋小、短気自汗出歴節痛、不可屈伸、此皆飲酒汗出当風所致...病歴節不可屈伸、疼痛、烏頭湯主之。
261 半夏 はんげ 辛/平 サトイモ科の多年草カラスビシャク半夏の塊茎 主傷寒寒熱心下堅、下気、喉咽腫痛、頭眩、胸脹咳逆、腸鳴、止汗。一名地文、一名水玉。生山谷。
262 虎掌 こしょう 苦/温 天南星といい、サトイモ科の多年草、ナガヒゲウラシマソウ天南星、アムールテンナンショウ東北天南星、マイズルテンナンショウ異葉天南星の塊茎 主心痛寒熱、結気、積聚、伏梁、傷筋痿、拘緩、利水道。生山谷。
263 鳶尾 えんび 苦/平 アヤメ科の多年草、イチハツ鳶尾の根茎 主蠱毒邪気、鬼[疒主]諸毒、破癥瘕積聚、去水、下三虫。生山谷。
264 大黄 だいおう 苦/寒 タデ科の多年草、掌葉大黄、唐古特大黄、薬用大黄の根茎 主下瘀血、血閉、寒熱、破癥瘕、積聚、留飲宿食、蕩滌腸胃、推陳致新、通利水穀、調中化食、安和五蔵。生山谷。
注)瘀血−『諸病源候論・婦人雑病諸候・瘀血候』血瘀在内、則時時体熱面黄、瘀久不消、則変性積聚癥瘕也。
留飲宿食−『諸病源候論・痰飲病諸候・留飲宿食候』由飲酒後飲水多、水気停留在脾胃之間、脾得湿気則不能消食、令人噫気酸臭、腹脹満、呑酸、所以謂之留飲宿食也。
265 葶藶 ていれき 辛/寒 葶藶子といい、アブラナ科の1〜2年草、クジラグサ、ヒメグンバイナズナ、マメグンバイナズナなどの種子 主癥瘕積聚結気、飲食寒熱、破堅逐邪、通利水道。一名大室、一名大[しんにゅう舌]。生平澤及田野。
266 桔梗 ききょう 辛/微温 キキョウ科の多年草、ききょう桔梗の根 主胸脇痛如刀刺、腹満腸鳴幽幽、驚恐、悸気。生山谷。
267 莨菪子 ろうとうし 苦/寒 天仙子といい、ナス科の1〜2年草、ヒヨス莨菪の種子 主歯痛出虫、肉痺拘急、使人健行、見鬼、多食令人狂走。久服軽身、走及奔馬、強志、益力、通神。一名横唐。生川谷。
268 草蒿 そうこう 苦/寒 青蒿といい、キク科の1年草クソニンジン茵陳蒿 、ハマヨモギ浜蒿の茎葉 主疥瘙痂痒、悪瘡、殺虱、留熱在骨節間、明目。一名青蒿、一名方潰。生川澤。
269 施覆花 せんぷくか 鹹/温 キク科の多年草、施覆花およびその亜種であるオグルマ日本施覆花とホソバオグルマ綫葉施覆花の頭状花序 主結気脇下満、驚悸、除水、去五蔵間寒熱、補中、下気。一名金沸草。一名盛椹。生平澤、川谷。
270 藜蘆 りろ 辛/寒 ユリ科の多年草で藜蘆とホソバシュロソウ馬氏の藜蘆の根と根茎 主蠱毒、咳逆、泄痢、腸澼、頭瘍、疥瘙、悪瘡、殺諸虫毒、去死肌。一名葱苒。生川谷。
271 鉤吻 こうふん 辛/温 フジウツギ科のつる植物、鉤吻の根 治主瘡、乳痙、中悪風、咳逆上気、水腫、殺鬼[疒主]、蠱毒。一名野葛。生山谷。
272 射干 やかん 苦/平 アヤメ科の多年草、ヒオウギ射干の根茎 主咳逆上気、喉閉、咽痛、不得消息、散結気、腹中邪逆、食飲大熱。一名烏扇、一名烏蒲。生川谷。
273 蛇含 じゃがん 苦/微寒 バラ科の多年草オヘビイチゴ蛇含委陵菜の根と全草 主驚癇、寒熱邪気、除熱金瘡、疽、痔、鼠瘻、悪瘡、頭瘍。一名蛇街。生山谷。
274 常山 じょうざん 苦/寒 ユキノシタ科の落葉低木、黄常山の根 主傷寒寒熱、熱発温瘧、鬼毒、胸中痰結、吐逆。一名互草。生川谷。
注)鬼毒−『諸病源候論・中悪候』是人生津衰弱、為鬼神之気卒中之也...精神衰弱、便中鬼毒之気。其状、卒然心腹刺痛、悶乱欲死。
275 蜀漆 しょくしつ 辛/平 ユキノシタ科の落葉低木、黄常山の茎葉 主瘧及咳逆寒熱、腹中癥堅、痞結積聚、邪気蠱毒、鬼鬼[疒主]。生川谷。
276 甘遂 かんずい 苦/寒 トウダイグサ科の多年草甘遂の根 主大腹疝瘕、腹満、面目浮腫、留飲宿食、破癥堅積聚、利水穀道。一名主田。生川谷。
277 白蘞斂 びゃくれん 苦/平 ブドウ科のつる植物、ビャクレン白蘞の根 主癰腫、疽、瘡、散結気、止痛、除熱、目中赤、小児驚癇、温瘧、女子陰中腫痛。一名莵核、一名白草。生山谷。
278 青葙子 せいそうし 苦/微寒 ヒユ科の1年草、ノゲイトウ青葙およびケイトウ鶏冠の種子 主邪気皮膚中熱、風瘙身痒、殺三虫。子、名草決明、療唇口青。一名草蒿、一名萋蒿。生平谷路旁。
注)唇口青−『諸病源候論・唇青候』小我臓気不和、血虚為冷気乗即口唇青宏色。
279 雚菌 かんきん 鹹/平 菌類の一種 主心痛、温中、去長虫、白[疒従]蟯虫、蛇螫毒、癥瘕諸虫。一名雚芦。生池澤。
280 白及 びゃっきゅう 苦/平 ラン科の多年草、シラン白及の塊茎 主癰腫、悪瘡、敗疽、傷陰死肌、胃中邪気、賊風鬼撃、痱緩不收。一名甘根、一名連及草。生川谷。
注)陰−陰器。
鬼撃−『諸病源候論・鬼撃候』卒著如人、以刀矛刺状、胸脇腹内絞急切痛、不可抑按、或吐血、或鼻中出血、或下血...一名鬼排、言鬼排触於人也、人有気血虚、生魂衰微、忽与鬼神遇相触突、致為其所排鬼撃。
&# −『霊枢・熱病』身無痛者、四肢不収、智乱不甚。
281 大戟 たいげき 苦/寒 アカネ科の多年草紅芽大戟やトウダイグサ科の多年草シナタカトウダイ京大戟の根又は根皮 主蠱毒、十二水腹満急痛、積聚、中風、皮膚疼痛、吐逆。一名邛鉅。
282 沢漆 たくしつ 苦/微寒 トウダイグサ科の1〜2年草、トウダイグサ沢漆の茎葉 主皮膚熱、大腹水気、四肢面目浮腫、丈夫陰気不足。生川澤。
283 茵芋 いんう 苦/温 草本の一種らしい 主五蔵邪気、心腹寒熱、羸痩如瘧状、発作有時、諸関節風湿痺痛。生川谷。
284 貫衆 かんしゅう 苦/微寒 シダ植物でオシダ科のオシダ粗茎燐毛蕨、ミヤマシケシダ、シシガラシ科のハイコモチシダ、ゼンマイ科のゼンマイなどの根茎 主腹中邪熱気、諸毒、殺三虫。一名貫節、一名貫渠、一名白頭、一名虎巻、一名扁符。生山谷。
285 蕘花 じょうか 苦/寒 黄芫花や河朔蕘花といい、ジンチョウゲ科の落葉低木黄芫花の花とされる 主傷寒、温瘧、下十二水、破積聚、大堅癥瘕、蕩滌腸胃中留癖、飲食寒熱邪気、利水道。生川谷。
注)癖−『諸病源候論・癖候』因飲水漿過多、便令停滞不散、更遇換気積聚而成癖、癖者、謂癖側在于両脇之間、有時而痛是也。
286 牙子 がし 苦/寒 狼牙といい、草本の一種の根を使うらしい 主邪気熱気、疥瘙、悪瘍瘡、痔、去白虫。一名狼牙。生川谷。
287 羊躑躅 ようていしょく、ようてきちょく 辛/温 ツツジ科の落葉低木、トウレンゲツツジ羊躑躅の花 主賊風、在皮膚中淫淫痛、温瘧、悪毒、諸痺。生川谷。
注)悪毒−又称悪注。『諸病源候論・悪注候』悪注者、悪毒之気、人体虚者受之、毒気人于毛色、遂流移心腹、其状往来掣痛、痛不一処、故名為悪注。
288 芫花 げんか 辛/温 ジンチョウゲ科の落葉低木、フジモドキ芫花の花蕾 主咳逆上気、喉鳴喘、咽腫短気、蠱毒、鬼瘧、疝瘕、癰腫、殺虫魚。一名去水。生川谷。
注)鬼瘧−類似現在之悪性瘧疾、脳型瘧疾。
289 姑活 こかつ 甘/温 植物らしい 主大風邪気湿痺寒痛。久服軽身、益寿耐老。一名冬葵子。
290 別覉 べっき 苦/微温 植物らしい 主風寒湿痺、身重、四肢疼酸寒邪気、歴節痛。生川谷。
291 商陸 しょうりく 辛/平 ヤマゴボウ科の多年草、ヤマゴボウ商陸の根 主水脹、疝瘕、痺、熨除癰腫、殺鬼精物。一名［クサ易］根、一名夜呼。生川谷。
292 羊蹄 ようてい 苦/寒 タデ科のギシギシ羊蹄の根 主頭禿、疥瘙、除熱、女子陰蝕。一名東方宿、一名連虫阝上山]、一名鬼目。生川澤。
293 萹蓄 へんちく 苦/平 タデ科の1年草ミチナヤギ萹蓄の全草 主浸淫、疥瘙、疽、痔、殺三虫。一名萹竹。生山谷。
注)浸淫−『諸病源候論・瘡病諸候』発生甚小、先痒後痛而成瘡、汁出、侵漬肌肉、浸淫漸闊、乃軽、若从四肢生、然後人口者、則重、以其漸増長、因名浸淫也。
294 狼毒 ろうどく 辛/平 トウダイグサ科の多年草、ヒロハタイゲキ狼毒大戟、ナツトウダイ鉤腺大戟の根 主咳逆上気、破積聚、飲食寒熱、水気、悪瘡、鼠瘻、疽蝕、鬼精蠱毒、殺飛鳥走獸。一名続毒。生山谷。
295 鬼臼 ききゅう 辛/温 メギ科の多年草ハスノハグサ八角蓮の根とされる 主殺蠱毒、鬼[疒主]、精物、辟悪気不祥、逐邪解百毒。一名爵犀、一名馬目毒公、一名九臼。生山谷。
296 白頭翁 はくとうおう 苦/温 キンポウゲ科の多年草ヒロハオキナグサ白頭翁の根 主温瘧、狂易寒熱、癥瘕積聚、癭気、逐血止痛、療金創。一名野丈人、一名胡王使者。生山谷。
297 羊桃 ようとう 苦/寒 つる植物の一種 主熛熱身暴赤色、風水、積聚、悪瘍、除小児熱。一名鬼桃、一名羊腸。生川谷。
注)風水−『諸病源候論・風水候』水散溢皮膚、又与風湿相搏、故云風水也。
298 女青 じょせい 辛/平 ガガイモ科の半低木、ヒメイヨカズラ地梢瓜の根 主蠱毒、逐邪悪気、殺鬼温瘧、辟不祥。一名雀瓢。生山谷。
299 連翹 れんぎょう 苦/平 モクセイ科の落葉低木レンギョウ連翹の果実 主寒熱、鼠瘻、瘰癧、癰腫、悪瘡、癭瘤、結熱、蠱毒。一名昇翔、一名蘭貨、一名折根、一名軹、一名三廉。生山谷。
300 石下長卿 せっかちょうけい 鹹/平 徐長卿と同じもので、ガガイモ科の多年草、スズサイコ徐長卿の根とされる 主鬼[疒主]精物邪悪気、殺百精蠱毒老魅注易:亡走、啼哭悲傷、恍惚。一名徐長卿、生池澤、山谷。
301 閭茹 ろじょ 辛/寒 トウダイグサ科のトウダイグサ属の草本らしい 主蝕悪肉、敗瘡、死肌、殺疥虫、排膿悪血、除大風熱気、善忘不楽。生川谷。
302 烏韭 うきゅう 甘/寒 ホウオウゴケ科のコケ植物オオバホウオウゴケの全草 主皮膚往来寒熱、利小腸膀胱気。生山谷石上。
303 鹿藿 ろっかく 苦/平 マメ科の多年草のつる草タンキリマメ鹿藿の全草 主蠱毒、女子腰腹痛不楽、腸癰、瘰癧、瘍気。生山谷。
304 蚤休 そうきゅう 苦/微寒 ユリ科の多年草ドクケシツクバネソウ七葉一枝花の根茎 主驚癇揺頭弄舌、熱気在腹中、癲疾、癰瘡、陰蝕、下三虫、去蛇毒。一名蚩休。生川谷。
305 石長生 せきちょうせい 鹹/微寒 草本の一種らしい 主寒熱、悪瘡大熱、辟鬼気不祥。一名丹草。生川谷。
306 陸英 りくえい 苦/寒 蒴藋のことでスイカズラ科の多年草、ソクズ蒴藋の葉 主骨間諸痺、四肢拘攣疼酸、膝寒痛、陰痿、短気不足、脚腫。生川谷。
307 藎草 じんそう 苦/平 イネ科の多年草、チョウセンガリヤス藎草の全草 主久咳、上気喘逆、久寒驚悸、痂疥、白禿瘍気、殺皮膚小虫。生川谷。
308 牛扁 ぎゅうへん 苦/微寒 草本の一種らしい 主身皮瘡熱気、可作浴湯、殺牛虱小虫、又療牛病。生川谷。
309 夏枯草 かごそう 苦・辛/寒 シソ科の多年草、ウツボグサ夏枯草の花穂 主寒熱、瘰癧、鼠瘻、頭瘡、破癥、散癭結気、脚腫湿痺、軽身。一名夕句、一名乃東。生川谷。
310 屈草 くっそう 苦/微寒 植物らしい 主胸脇下痛、邪気腸間寒熱、陰痺。久服軽身益気耐老。生川澤。
311 巴豆 はず 辛/温 トウダイグサ科の常緑高木、ハズ巴豆樹の種子 主傷寒、温瘧寒熱、破癥瘕、結聚堅積、留飲痰癖、大腹水脹、蕩練五臓六腑、開通閉塞、利水穀道、去悪肉、除鬼毒、蠱[疒主]物邪、殺虫魚。一名巴椒。生川谷。
注)痰癖−『諸病源候論・癖病諸候・痰癖候』由飲水未散、在胸腹之間、因遇寒熱之気相搏、沈滞而成痰也、痰又停聚流移于胸肋之間、有時而痛、即謂之痰癖。
悪肉−『諸病源候論・悪肉候』身里忽有肉如小豆突出、細細長、乃如牛馬乳、亦如鶏冠状、不痒不痛、長不己...。
鬼毒−又称毒注。『諸病源候論・毒注候』是鬼毒乃気、因飲食入人腹内、或上至喉間、状如有物、呑吐不出、或游走身体、痛如薙刀所刺、連体停久、故謂乃毒注。其所述似今食物中毒−類的疾患。
312 蜀椒 しょくしょう 辛/温 花椒ともいい、ミカン科の落葉低木とうざんしょう花椒の果皮 主邪気咳逆、温中、逐骨節皮膚死肌、寒湿痺痛、下気。久服之、頭不白、軽身増年。生川谷。
注)逐−病也。
313 皁莢 そうきょう 辛/温 マメ科の落葉高木でサイカチと同族植物の猪牙皁の果実 主風痺死肌、邪気風頭、涙出、利九竅、殺精物。生川谷。
314 柳華 りゅうか 苦/寒 ヤナギ科の落葉高木下レヤナギ垂柳の花 主風水、黄疸、面熱黒。一名柳絮。葉、主馬疥痂瘡。実、主潰癰、逐膿血。子汁、療渇。生川澤。
315 楝実 れんじつ 苦/寒 苦楝子ともいいセンダン科の落葉高木トウセンダン川楝の果実 主温疾、傷寒大熱、煩狂、殺三虫、疥瘍、利小便水道。生山谷。
316 郁李仁 いくりにん 酸/平 バラ科の落葉低木で欧李、ニワウメ郁李とその変種の長梗郁李、ユスラウメ山桜桃などの種子 主大腹水腫、面目、四肢浮腫、利小便水道。根、主歯齗腫、齲歯、堅歯。一名爵李。生高山、川谷及丘陵上。
317 莽草 もうそう 辛/温 草または木の葉を用いるらしい 主風頭、癰腫、乳腫、疝瘕、除結気、疥瘙、殺虫魚。生山谷。
318 雷丸 らいがん 苦/寒 サルノコシカケ科の菌類、雷丸菌の菌核 主殺三虫、逐毒気、胃中熱、利丈夫、不利女子。作摩膏、除小児百病。生山谷土中。
319 梓白皮 しはくひ 苦/寒 ノウゼンカズラ科の落葉高木キササゲ梓の樹皮 主熱、去三虫。葉、擣傅猪瘡、飼猪肥大三倍。生山谷。
320 桐葉 とうよう 苦/寒 ノウゼンカズラ科の落葉高木キリ桐の葉 主悪蝕瘡、著陰。皮、主五痔、殺三虫。花、主傅猪瘡、飼猪肥大三倍。生山谷。
321 石南 せきなん 辛/平 石楠葉といい、バラ科の常緑低木または小高木のオオカナメモチ石楠の葉 主養腎気、内傷陰衰、利筋骨皮毛。実、殺蠱毒、破積聚、逐風痺。一名鬼目。生山谷。
322 黄環 おうかん、こうかん 苦/平 つる草らしい 主蠱毒、鬼[疒主]鬼魅邪気在蔵中、除欬逆寒熱。一名凌泉、一名大就。生山谷。
323 溲疏 しゅうそ 辛/寒 木本らしい 主身皮膚中熱、除邪気、止遺溺。可作浴湯。生川谷及田野、故丘墟地。
324 鼠李 そり 苦/微寒 クロウメモドキ科の落葉低木、クロツバラ鼠李の果実 主寒熱、瘰癧瘡。生田野。
325 松蘿 しょうら 苦/平 サルオガセ科の地衣でヨコワサルオガセ松蘿の全草 主瞋怒、邪気、止虚汗、頭風、女子陰寒腫痛。一名女夢。生川谷。
326 薬実根 やくじつこん 辛/温 木本らしい 主邪気諸痺疼酸、續絶傷、補骨髄。一名連木。生山谷。
327 蔓椒 まんしょう 苦/温 ミカン科のサンショウの類を用いるらしい 主風寒湿痺、歴節疼痛、除四肢厥気、膝痛。一名家椒。生川谷及丘家間。
328 欒華 らんか 苦/寒 ムクロジ科の落葉高木モクゲンジ欒樹の花とされる 主目痛泣出傷眥、消目腫。生川谷。
329 淮木 わいぼく 苦/平 一名百歳城中木、古い城の中にある朽ちかけた柱 主久咳上気、傷中虚羸、女子陰蝕、漏下赤白沃。一名百歳城中木。生平澤。
330 大豆黄巻 だいずおうかん 甘/平 マメ科の1年草、ダイズ大豆の種子、つまり大豆もやしを乾燥したもの 主湿痺筋攣膝痛。生大豆、塗癰腫、煮汁飲、殺鬼毒、止痛。赤小豆、主下水、排癰腫膿血。生平澤。
331 腐婢 ふひ 辛/平 マメ科の1年草アズキ赤豆の花 主痎逆寒熱邪気、泄利、陰不起、病酒頭痛。
332 瓜蒂 かてい 苦/寒 ウリ科の1年草マクワウリ甜瓜のうりのへた、つまり梗と宿存萼 主大水、身面四肢浮腫、下水、殺蠱毒、咳逆上気及食諸果病在胸腹中、皆吐、下之。生平澤。
333 苦瓠 くこ 苦/寒 ウリ科のヒョウタンの類のうりのうりわたおよび種子とされる 主大水、面目、四肢浮腫、下水、令人吐。生平澤。
334 六畜毛蹄甲 ろくちくもうていこう 鹹/平 家畜、牛、羊、猪(ブタ)、馬、鶏、駝(ラクダ)の蹄 主鬼[疒主]、蠱毒、寒熱、驚癇痙癲疾狂走。駱駝毛尤良。
335 燕屎 えんし 辛/平 ツバメ科のツバメ燕の糞 主蠱毒、鬼[疒主]、逐不祥邪気、破五癃、利小便。生平澤。
336 天鼠屎 てんそし 辛/寒 夜明砂といい、ヒナコウモリ科のトウヨウヒナコウモリ、ウサギコウモリ、キクガシラコウモリなどの糞 主面癰腫、皮膚洗洗時痛、腹中血気、破寒熱積聚、除驚悸。一名鼠法、一名石肝。生山谷。
337 鼺鼠 るいそ 定めなし/微温 リス科ムササビ鼺鼠の動物体または毛皮 主墮胎、令産易。生平澤。
338 伏翼 ふくよく 鹹/平 ヒナコウモリ科のトウヨウヒナコウモリ蝙蝠などのコウモリ類の動物体 主目瞑明目、夜視有精光。久服令人喜楽、媚好、無憂。一名蝙蝠。生川谷。
注)瞑−眼睛昏花。
339 蝦蟇 がま 辛/寒 ヒキガエル科のアジアヒキガエル、ヘリグロヒキガエルなどの動物体とされる 主邪気、破癥堅血、癰腫、陰瘡。服之不患熱病。主池澤。
注)陰瘡−指女子下陰部生瘡。
340 馬刀 ばとう 辛/微寒 淡水生の2枚貝で、イシガイ科のカワマテガイなどの貝殻らしい 主漏下赤白、寒熱、破石淋、殺禽獸賊鼠。生池澤。
341 蟹 かい 鹹/寒 イワガニ科の淡水産のカニ、シナモクズガニの全体 主胸中邪気熱結痛、喎僻、面腫敗漆。焼之致鼠。生池澤。
342 蛇蛻 じゃぜい 鹹/平 ヘビ科のサキシマスジオ、シュウダなどのヘビの脱け殻 主小児百二十種驚癇瘈瘲、癲疾、寒熱、腸痔、虫毒、蛇癇。火熬之良。一名龍子衣、一名蛇符、一名龍子単衣、一名弓皮。生川谷及田野。
注)蛇癇−『嬰童宝鑑』身軟、挙頭、吐舌視人。
343 蝟皮 いひ 苦/平 刺蝟皮といい、ハリネズミ科の哺乳動物、ハリネズミ刺蝟やダウリアハリネズミ短刺蝟の皮 主五痔、陰蝕、下血赤白五色、血汁不止、陰腫痛引腰背、酒煮殺之。生川谷、田野。
344 蠮螉 えいおう 辛/平 ジガバチ科のハチ類とされる 主久聾、咳逆、毒気、出刺、出汗。生川谷。
345 蜣蜋 きょうろう 鹹/寒 蜣蜋虫といい、コガネムシ科の甲虫のタイワンダイコクコガネやカブトムシの成虫 主小児驚癇瘈瘲、腹脹、寒熱、大人癲疾、狂易。蛣蜣。火熬之良。生池澤。
注）熬−炙、焙、以微火烘烤。
346 蛞蝓 かつゆ 鹹/寒 ナメクジ科のナメクジ蛞蝓の全体 主賊風喎僻、軼筋及脱肛、驚癇攣縮。一名陵蠡。生池澤及陰地、沙石、垣下。
注)軼筋−是筋突起。
347 白頸蚯蚓 はっけいきゅういん 鹹/寒 地龍といい、フトミミズ科の参環毛(虫引)やツリミミズ科のカッショクツリミミズ縞蚯蚓の全体 主蛇瘕、去三虫、伏尸、鬼[疒主]、蠱毒、殺長虫、仍自化作水。生平土。
注)長虫−『諸病源候論・三虫候』蚘虫也、長一尺、動則吐清水、出則心痛、貫心則死。
348 蠐螬 せいそう 鹹/微温 コガネムシ科の甲虫のチョウセンクロコガネやクロコガネなどの幼虫 主悪血血瘀痺気、破折血在脇下堅満痛、月閉、目中淫膚、青翳、白膜。一名[虫賁]蠐。生平澤。
349 石蚕 せきさん 鹹/寒 毛翅の昆虫トビケラ類の幼虫 主五癃、破石淋、堕胎、水道利。肉、解結気、利水道、除熱。一名沙虱。生池澤。
350 雀甕 じゃくおう 甘/平 イラガ科の蛾の繭 主小児驚癇、寒熱、結気、蠱毒、鬼[疒主]。一名躁舎。生樹枝間。
351 樗鶏 ちょけい 苦/平 紅娘子といい、セミ科の昆虫の黒翅紅娘子や褐翅紅娘子の成虫 主心腹邪気、陰痿、益精強志、生子、好色、補中軽身。生川谷。
352 斑猫 はんみょう 辛/寒 斑蝥といい、ツチハンミョウ科の甲虫のオオヒゲゲンセイやオビゲンセイの成虫 主寒熱、鬼[疒主]、蠱毒、鼠瘻、悪瘡、疽触死肌、破石癃。一名龍尾。生川谷。
353 螻蛄 ろうこ 鹹/寒 ケラ科のケラ非州螻蛄と華螻蛄の成虫 主産難、出肉中刺、潰癰腫、下哽噎、解毒、除悪瘡。一名蟪蛄、一名天螻。夜出者良。生平澤。
354 蜈蚣 ごこう 辛/温 オオムカデ科のトビズムカデ少棘巨蜈蚣の全体 主鬼[疒主]、蠱毒、噉諸蛇虫、魚毒、殺鬼物老精、温瘧、去三虫、生川谷。
355 馬陸 ばりく 辛/温 節足動物ヤスデ倍脚綱の類 主腹中大堅癥、破積聚、息肉悪瘡、白禿。一名百足。生川谷。
356 地胆 じたん 辛/寒 ツチハンミョウ科の甲虫マルクビツチハンミョウとされる 主鬼[疒主]、寒熱、鼠瘻、悪瘡死肌、破癥瘕、墮胎。一名蚖青。生川谷。
357 蛍火 けいか 辛/微温 ホタル科の昆虫、ホタルの類とされる 主明目、小児火瘡、傷熱気、蠱毒、鬼[疒主]、通神精。一名夜光。生階地、池澤。
358 衣魚 いぎょ 鹹/温 シミ科の昆虫、シミの類とされる 主婦人疝瘕、小便不利、小児中風、項強背起、摩之。一名白魚。生平澤。
359 鼠婦 そふ 酸/温 ダンゴムシ科のダンゴムシの全体 主気癃不得小便、婦人月閉血瘕、癇痙、寒熱、利水道。一名眉蟠、一名蛜威。生平谷。
360 水蛭 すいしつ 鹹/平 ヒルド科のウコビル、チャイロビル、チスイビルの全体 主逐悪血、瘀血月閉、破血瘕、積聚、無子、利水道。生池澤。
361 木虻 もくぼう 苦/平 アブ科の昆虫アブの類とされる 主目赤痛、眥傷涙出、瘀血、血閉、寒熱、酸慄、無子。一名魂常。生川澤。
362 蜚虻 ひぼう 苦/微寒 虻虫といい、アブ科の昆虫でウシアブと同属の複帯虻の成虫 主逐瘀血、破下血癪、堅痞、癥瘕寒熱、通利血脈及九竅。生川谷。
363 蜚蠊 ひれん 鹹/寒 ゴキブリ科の昆虫とされる 主血瘀癥堅寒熱、破積聚、喉咽閉、内寒無子。生川澤。
364 [庶虫]虫 しゃちゅう 鹹/寒 ゴキブリ科のサマナゴキブリなどの成虫 主心腹、寒熱洗洗、血癪癥瘕、破堅下血閉、生子尤良。一名地鱉。生川澤。
365 貝子 ばいし 鹹/平 白貝歯といいい、タカラガイ科海産巻貝のハナビラダカラ、ナツメモドキ、キイロダカラの貝殻 主目翳、鬼[疒主]、蠱毒、腹痛、下血、五癃、利水道。焼用之良。生池澤。

(注) [ ] 内は一語。しゃちゅうの「しゃ」は庶の字の下に虫。
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