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2007年03月12日

中医学を知ってさえいれば薬膳がわかる?

薬膳は、中医学理論に基づいて施膳されるものです。
ですから、薬膳を勉強するためには、中医学理論は不可欠です。

では、中医師はみな薬膳を知っているのでしょうか。
否、薬膳とは薬膳学、食療学、飲食栄養学なども勉強して、どんな食品がどんな作用を及ぼすのかも知らなければなりません。

今、世の中に出回っている薬膳関係の本は、料理研究家が薬膳を勉強して作っているもの、中医師が食材を提示して料理研究家が作っているものがあります。
料理として考えたときは、薬膳としての効き目よりゆるい内容で、病気に対する薬膳として考えた場合は、ある程度料理としての体裁はカットされるかもしれません。

そんな中、先生としての資質を問うと、薬膳を料理として勉強した方は、たぶんにして中医学の詳細な理論にはうといことがあり、中医学を勉強した方は、逆に食材をあまり知らなかったりします。

中医学は中国の伝統的な医学ですので、本場中国人に学ぶということは、ストレートにその知識が入るということですが、中国にある食材でも日本にはなかったり、同じ食品なのかというすり合わせができなかったり、料理自体が中国料理から脱却しなかったり、ということが起るわけです。

中薬は学名(ラテン語)が表記されている本があるので、名前が異なっていても同じかどうかは学名で判断することができますが、食品は判断できないものが多いのが実情です。
この前なんて、鴨と家鴨が同類で出てきたので、とまどっちゃいました。
肉としての、四気、五味を考えた場合は、同類で良いのかなとは思いましたが、同じ樹木でも桂枝肉桂は違うものとして分類されているので、変に細かい部分とアバウトな部分が混在して訳がわからない状態になったりします。

ちょっと、薬膳を勉強すると、どんな先生に習いたいのか、その全体像が見えてきます。
「僕らに必要なのは、中国でちゃんと勉強してきた日本人の先生だよ。」

でも、そんな人は非常に少ないのが現実です。

2007年03月05日

気は温かいの?冷たいの?

先週の気功の授業のときのこと。
合谷百会に、まるで鍼を打つように気を送るという動作を生徒同士で行いました。

友だちが、私の合谷にその動作をやったときは、ホワホワした感触が起り、薬指と小指がだんだんチリチリした感じで痺れてきました。
そして、百会にやったときは、何だか痒いような感触がしたのです。

先生がどんな感じがしたかを尋ねたときに、痒かった、と答えると、後ろから「えーっ、痒いの?」
自分でも、変な感触と思っていたら、別の友だちが教科書の気の感覚というところを開き、「あっ、痒いとかも書いてある。」

うん、うん、私の感覚も別に変ではなかったのね。
その、教科書の気の感覚のところをじっと見ていると、気は『熱』、『冷』の感覚もあると書いてあるではありませんか。

そういえば、先日、別の人と、百会に気を入れるというのをやったときは、冷たい風が吹いて来たような感覚が起ったんですよね。

気は、中医学基礎論では、カロリーの高い熱だから、気が滞ると体の中に熱が発生すると書かれています。
でも...冷たい感じがするというのも事実のようです。

生体エネルギーである気は、簡単に電磁波の一種とか、熱とかいえない複合的なエネルギーであることだけは確かなようですね。

2007年01月31日

ミニドリンク剤・ニューゼナF-

電車の壁に貼られている広告。
何気に見ている人はきっと多いと思います。
ニューゼナF-兇砲論弧瑤いっぱい。

目に飛び込んできたのは「反鼻」の文字です。
あれ、これにもマムシが入ってるの?
おーっ、何と養命酒のようなドリンク、養命酒の酒抜きといってもいいかも。

滋養強壮を目指すと、同じような生薬の配合になってしまうのかもしれませんね。
ただ、比率は違うし、こちらはビタミン類も添加されているので、微妙に違います。

ムイラプアマは、ブラジル原産の強壮生薬だそうです。
ニューゼナF-兇、どんな人向けかというと、

身体の疲れがとれない方、疲れていてもまだまだ頑張らなければならない方、かぜなどの発熱性消耗性疾患にかかり体力が衰えた方などの栄養補給に
ということです。

疲れがとれない方とか、消耗性疾患にかかって体力が衰えた方とかには良いと思いますが、疲れていてもまだまだ頑張らなければならない方というのは、誤解される人もいるのでは?
人参が入っているものは、虚証の人向けなので、実証で一時的にダウンしている人には向かないと思うから。

ここからは、中国人の先生に聞いた話。 人参は体力をつけるというので、子供にしょっちゅう食べさせた結果、その子供(若者)が体調不良になって病院に来たそうです。
問診した結果、人参をたびたび食べていたのだとか。
若者は、普通、元気が有り余ってますからねえ。
補気しすぎってのも、良くないってことです。

若者がドリンク剤を多用するのは、えてして、その人の証に適していないことが多々ありそうです。

巴戟天 300mg
地黄 150mg
淫羊藿 100mg
人参 90mg
白朮 54.5mg
タウリン(アミノエチルスルホン酸) 50mg
甘草 37.5mg
芍薬 30mg
ムイラブアマ 15mg
ビタミンB1硝酸塩 10mg
茯苓 9.6mg
ビタミンB2リン酸エステル 5mg
ビタミンB6 5mg
反鼻 1.75ml
黄耆 0.3ml
桂皮 0.15ml
当帰 0.11ml
川芎 0.1ml

2007年01月22日

孫思邈はベジタリアンだった?

薬王として、唐の時代の名医で、長寿だった孫思邈。
彼が、ベジタリアンだったという人がいます。
「千金方」の26巻にある『食治篇』は、薬膳のことが書かれていた最古のものといわれています。
孫思邈は、死にかけた人を生き返らせたとか、140歳まで長生きしたとか、名声には興味がなかったとかいろいろ言われている方です。

『千金方・食治篇』を手に入れていないので、自分の目で確認したわけではないのですが、ネットを検索していて台湾のページで以下の文を見つけました。

唐代名醫孫思邈的「備急千金方」一書,第二十六卷『食治篇』是現存最早的藥膳專篇,其中詳細地介紹了食治理論和具有食療作用的肉、果、菜等食物。

食治篇には、肉のことも記載されているようですよね。
ベジタリアンなら、肉のことを記載するかしら?
どなたか、孫思邈さんについてご存じの方がいらしたら、教えてくださいませ。

なお、孫思邈は鍼の腕も見事だったらしく、十三鬼穴というのが残されています。
これは、癲狂(精神病)を治療するときのツボで、「鬼」という字がついた別名がそれぞれあります。

孫思邈十三鬼穴

1 人中 鬼宮 入3分
2 少商 鬼信 入3分
3 隠白 鬼壘 入2分
4 大陵 鬼心 入5分
5 申脈 鬼路 火針
6 風府 鬼枕 入2分
7 頬車 鬼牀 入5分
8 承漿 鬼市 入3分
9 間使 鬼窟 入2分
10 上星 鬼堂 入2分
11 会陰(男)、玉門頭(女) 鬼蔵 入3分
12 曲池 鬼臣 火針
13 舌下中縫 鬼封 刺出血

2007年01月05日

栗はやっぱり甘でしょう。五味を考える。

栗は、甘/温で健脾補腎、強筋活血、滋補および血液の運行をよくする作用あり。
と、中医営養学の本には書かれていますが、ネットの中の情報では、五味が「甘」ではなく、「鹹」と書かれているものもあります。

はて、そんなことあるのかな。
どうも、何かの本にそういうふうに書かれているのを基準にしているらしいのですが、先日中国人の先生にそのことを尋ねてみました。

「それは、おかしいですね。五味には、それぞれ働きがあるので、働きから考えたら鹹のはずはないんですけどねえ。」
というのが、先生のおことば。

それで、考えさせられたという次第。
確かに、昔、昔は、食べてみて判断した味だとしても、五味が人間に与える作用を考えて、そこから導き出されたものもあるので、栗に軟堅・散結・瀉下の効果があるなんて、とても思えないでしょう?
いろいろな情報が飛び交う中、働きから五味を導き出すのも一つの手かな?

以下は、それぞれの味の働きをまとめたもの。

収斂、固渋、生津
泄、燥湿、瀉火、瀉下、清熱、降逆
補益、和中、緩和、滋養、強壮
発散、行気、活血
軟堅、散結、瀉下
滲利水湿、通利小便

2006年12月22日

漢方の代名詞、葛根湯

中医学には、正治と反治ということばがあります。
正治は、熱があったときは体を冷やす治療を、体が寒いときは温める治療をすることを指します。
反治は、本当は体の中には熱があり、陽盛の状態になっているのに、体の表面に陰が追いやられて、外目からは寒けがするときなどに、体を冷やす薬を使うことを指します。
つまり、表面に現れている症状には、『それは反対の治療だろ』という治療をすることで、実際は本来の症状に対しては正しい治療をしていることになります。

しかし、もしこの状態を読み間違えていたらどうなるか。
正治をするべきなのに反治をしてしまえば、治るどころかどんどん悪くなる。

先日の授業で、辛温解表薬を夏に使いすぎると、体の中が温まりすぎてかえって体内に熱がたまりやすく、よくないと聞きました。
葛根湯は、辛温解表薬ですねえ。
葛根自体は辛涼解表薬、つまり体を冷やすものですが、葛根湯という方剤になると体を温める薬になります。
夏風邪に葛根湯は、要注意ですね。

葛根湯は、風寒の風邪、体がぞくぞく悪寒がしていて寒い、ひき始めのときに飲むと効果を発揮しますが、喉が痛い、熱が出てきたなんて状況のときには風熱の風邪ですので、冷やさなければならないのに、逆に体を温めてしまいます。

本人は、治ると思って飲んでいたものが、実はプラスになるどころかマイナスに働いていたなんてことになるわけです。
日本人は、結構、葛根湯好きな人が多い。
私の周りにも、いっぱい、いること、いること。

あくまでも漢方薬は、そのときの証に合わせて処方されるべきもの。
病気(この場合は風邪)に合わせて飲むものではありません。
ですから、誤解が生まれるのです。

ちなみに、寒気にあたって筋肉がこわばって肩凝りがする、なんてときは葛根湯が効きますよ。

2006年11月22日

「黄帝内経」って、やっぱりすごい

ネットを検索していると、黄帝内経を研究する会とか、黄帝内経なんて役に立たないという人とかいろいろいますね。

2千年以上(3千年かしら)も昔に書かれた本なのに、中医学の基礎になっていて、人間の養生などについて記述されており、とても古いとは思えない素敵な本、それが「黄帝内経」です。

『昔の人は皆100歳になるまで生き、しかも行動は衰えたりしてはいなかった、と聞いている。ところが、現在の人は 50歳になるやならずで動作が衰えてしまう。これは時代環境が異なるためなのか、それとも人々が養生の道にはずれているためなのか。』(黄帝内経・素問・上古天真論)

思わず、笑っちゃう内容です。
え、これが何千年も昔に書かれた本の内容なの。
人間て、今も昔も同じなんですね。

最近、ちと思うことがあるのです。
自然環境、木火土金水や陰陽に人間を当てはめる中医学が古びた学問のように感じることもあったのですが、自然環境の中におかれている人間が、自然に影響されないはずはない。
だから、自然現象を人間の五臓に照らし合わせて考える中医学は、抽象的に思えるけれど、実は最も物事の核心をついていて、それこそ真理なのではないかと。

たとえば、風邪(ふうじゃ)や熱邪、寒邪、湿邪、燥邪など、邪などという比喩を使うと、いかにも現代科学から遅れている古くさい学問のようではありませんか。
でもね、人間の体内に起る様子をそれぞれの邪に置き換えて考えると、納得することって多いのですよ。

2006年11月20日

陰陽って今でもよくわからない

中医学の基本の基本、陰陽の考え方、
わかっているようでいて、本当はよくわかっていないのです。

陰陽は、対立、消長、互根、転化、平衡、とあり、
陰陽の対立の項目がある本を読んでも、それが消長といっしょになって説明されていたりするから、よけいに理解不能になります。
パターンを覚えてしまえばいいのでしょうが、それでは根本的に理解したことにならない。

『陰在内、陽之守也、陽在外、陰之使也。』
これは、「素問・陰陽応象大論」の中のことばですが、確か陰陽互根を説明しています。

『益火之源、以消陰翳』
『壮水之主、以制陽光也』
などは、「全訳中医基礎論」で、出典が、「素問・至真要大論」と書かれていたので、そのことばを現代語訳版で3回も探してしまいました。
どうも、黄帝内経太素における王冰の注らしいです。
虚寒証、虚熱証に対する治療方法をいっているらしいですが、陰陽のどの種類なのかというと.....
(興味を持った方はご自分で勉強してくださいませ)

陰陽なんて簡単!とおっしゃる方、

愛媛中医学研究会のページで、中医学を学ぶ学生向けの問題集というのがあります。
トライしてみてくださいませ。

2006年11月15日

中国語を読むのって大変だけれど

私が薬膳を勉強した北京中医薬大学日本校の教科書は、中国の中医薬大学で使われている中国語の教科書でした。
その教科書を見た瞬間、目が点になったのを覚えています。
いくら、中医学を学ぶといっても、日本校で日本人向けの講義なのに日本語で書かれていないなんてどうかしてる。

最初の授業に恐る恐る出かけた私は、たまたま同じ机でいっしょになった人たちが、一人は中国語の翻訳を、一人は中国に何年か行っていたことがある人で、先生の話した内容をその中国語の教科書で確認しながらマーカーを引いているのに出くわしました。
なんと!!!絶句。

なんちゅうハイレベルの人たちの中に、私は入ってしまったのか。
皆、向学心に燃えていて、週末に行われる授業には、地方から新幹線や飛行機でやってくる人たちも何人かいました。

同じ漢字だからと気を取り直して、何とか読解しようとするけれど、漢文の世界はお手上げだし、簡体字で非常に簡略された漢字は、何の字かさえわかりませんでした。
授業は、中国人の先生が日本語で話されるし、プリントも出るので、教科書を読めなくとも何とかなりますが、今にして思えば、この中国語の教科書は英断だったと言わざるを得ません。

なぜなら、中医学は中国の伝統医学であり、日本語で刊行されている書物だけではわからないことが多く、また国際クラスの日本語の問題集は非常に少ないのです。
ですから、日本語の書物ではどうしても足りない場合、仕方がないので(ここは強調します)、中国語の本を見ています。

中国語は全然習っていないので、わかる単語と短い肯定文だけをなんとか。
否定形になると、どこまで否定が続いているのか訳わからん状態にしょっちゅうなりますが、
それでも、
中国語の文章を読もうという気が起きること自体、北京中医薬大日本校に感謝!
です。

2006年10月06日

「ぼーっとしようよ養生法」の記事

以前の記事で、夏に腎を養生しないでいつの季節にするのさの元になった記事を見つけました。

それは、何年も前、ひょっとしたら十年以上たっているかもしれませんが、朝日新聞(だと思う)に連載されていた鍼灸師の田中美津さんのものです。
他のものを探して引出しの中をひっくり返していたら、すでに黄ばんでしまったその切り抜きを見つけたのです。
そこから、ご紹介します。

汗は大事よ。「夏は1日1回必ず汗を出すように」と昔のヒトはいっている。汗が出れば、汗と一緒に老廃物も出る。だからその分、腎がラクできる。つまり腎は夏に休みをとるわけね。
腎は夏に休んで冬に働く。冬の寒さから私たちを守ってくれる生命力の源だ。ところが夏、冷房の部屋に入ると汗が引っ込む。そうなると腎にとっては冬と同じ、老廃物を体外に出す働き=排泄作用を一身に引き受け働きつづけなければなりません。休みをとらずに働けば、過労になるのは腎とて同じよ。
最近、コンピューターやOAの操作に従事しているサラリーマンや技術者たちにインポテンツが増えてるそうな。日々情報処理に追われてると、思考、判断、創造を受け持つ前頭葉がクタクタになる。そうなると、前頭葉は性行動も支配してるから、異性への感心が薄れ、性欲を喪失する.....と、言われていますが、原因はそれだけかしら。
落語に出てくる「腎虚の殿サマ」。腎虚とは過労やセックスのやり過ぎでフラフラ、ヘロヘロになってしまった状態です。生命力の源は、また性欲の源でもあるのです。
コンピューターに合せて冷房してある寒い寒い部屋で長時間働いてたら、汗なんて出やしません。汗がまったく出なければ、腎は過労に陥って、男性の場合とかく腎虚=インポテンツになりやすい。そう、人は脳だけで生きてるわけじゃないんですっ。
汗を盛大に出して腎を助けたいんなら、今がチャンス(この記事は夏でした)。夏は陽で、冬は陰。陰の冬は決して発散してはならない季節です。もしその時期に過度な暖房、厚着、飲酒などで汗をたくさん発散すると、皮膚から陽気が出てしまうので、相棒である陰気も必ず衰弱します。陰気の中心は腎。だから、冬に汗をかき過ぎても、腎は弱っていくわけね。

どうです。
わかりやすい説明ですねえ。
この記事はまとめられて、文庫になっているようです。
興味の湧いた方は本を読んでみてね。


2006年09月11日

陰陽のお話(生気通天論)

陰虚(暑がり)なのか、陽虚(寒がり)なのかは全然反対の性質ですが、実際の人間の証はそう簡単にはわからず、間違ったら対処方法も間違ったものになってしまうので、これはかなり問題です。

黄帝内経素問の生気通天論(まんが黄帝内経参照)には、

人体の陽気は、太陽と同じようなものである。
太陽は天に高く輝いて万物に生命力を与えるように、人間の陽気も体の上部に多く集中し、体の外側に居って体を外邪から守る。
ただし、陽気は寒気に遭遇すると、開き戸の軸が臼の中にあるように体の中に引っ込んでしまう。
陽気は熱と活動の性質があるので、体内に久しくこもると体が熱して興奮しやすくなる。
陽気は太陽と同じように朝よみがえり、人体の外に出て体を守る。
昼頃には陽気は最も旺盛である。
太陽が沈んでいくと、体表の陽気は少なくなり毛孔は閉じる。
陽気は夜に体の奥に居るので、夜はよく体を休め霧や露の冷えを避けるべきである。

とあります。

太陽は熱エネルギー、人間も、朝太陽が昇るとともに陽気が体表に出て行くということは、陽気イコール衛気ってことでしょうか。
そして、だんだん太陽が沈むにしたがって陽気も体内に入っていくと、陰虚の人はますます陽盛になるので相対的に陰は不足し体の中は水分不足、体内は熱がこもりがちになります。
だから、午後の潮熱や盗汗(寝汗)が起きるんですね。

でも、陰虚はこれで説明できるとしても、朝は冷え性で、夜は口渇があるのはどう説明すればよいのでしょうか。



2006年08月31日

苓桂朮甘湯と苓姜朮甘湯

桂枝乾姜を使うかの差で主治が変わる、方剤っておもしろいけれどよくわからない、でも弁証が合っていれば、たちどころに症状がとれていくので感激することしきりです。
苓姜朮甘湯を飲み始めて1週間、まだふくらはぎの冷たいしこったような感覚と、足裏のスースー感はとれたとはいえませんが、かなり温かみと柔らかさが戻ってきたような気がします。

さて、苓桂朮甘湯と苓姜朮甘湯と両方持ってるんだけど、どっちがいいの?と友だちに聞かれてしまいました。
はて、両方お持ちとはどういう所以でしょうか。
まあ、そのへんの憶測は置いておいて、つくづく双方を眺めてみました。

苓桂朮甘湯 苓姜朮甘湯
主治 胸脇部が脹る、咳嗽、呼吸促迫、めまい、動悸、舌苔白滑、脈弦滑など 身体がだるい、腰や下肢が冷えて痛む、口渇はない、食欲は正常、排尿は正常、舌苔は白滑、脈は沈
病機 脾陽不足で水飲が心下に停聚した状態。 寒冷や多湿環境のために寒湿が侵襲し、肌肉に停積した状態。
方意 主薬は茯苓で、温陽化気の桂枝の補助のもとに、水飲を温化し利小便によって除去する。 辛熱の乾姜は温中散寒に働く。健脾除湿の白朮・茯苓は運化を強めて利水し、乾姜とともに寒湿を除去する。
金匱要略 それ短気し微飲あるは、まさに小便よりこれを去るべし。心下に痰飲あり、胸脇支満し目眩するは、苓桂朮甘湯これを主り。 腰以下冷痛し、腰重きこと五千銭を帯びるがごとし、甘姜苓朮湯これを主る。
説明 脾陽虚のために水湿の運化が不足し、湿が集まって水飲を生じる。水飲が心下に集まり停滞し、胸脇部の気機を阻害すると胸脇部が脹り、肺を阻害すると息切れや咳を生じ、心を阻害すると動悸、清陽の上昇を阻害するとふらつきや目眩が現れる。 脾は肌肉を主り水湿の運化を主るので、肌肉の寒湿は温中散寒を通じて除去するのがよい。一般的な寒湿の病変では、脾陽が阻害されるので食欲不振や下痢になったり、津液散布が阻害されるので口渇するが水分はほしくなかったり、腎の気化がうまくいかないので排尿がうまくいかなかったりするが、これらの症状がないのは水湿が肌肉にあることを示している。

『中医臨床のための方剤学』参考

双方の方剤とも健脾利湿し、体を温めて体内の寒湿を取り除くのは同じですが、一番具合の悪いところがどこなのかを考えて選ぶ必要あり、ですね。

2006年08月22日

苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)

体全体が寒く感じるけど、それでも比較すると腰から下、大腿部や脛、ふくらはぎ、足背、足裏が、まるで冷たい水の中に入っているようです。

暑い外でテニスをした日なんて、喉が渇くので当然水分を取り、2時間で1升ぐらいは飲んでます。
だからといって、摂取した水分がすべて体の中から排泄されるわけではなく貯まっていて、下半身にそれが著しい。
だから下半身が重いし、デスクワークをしていると重力で当然下に水は溜まっていくので、冷房の入っていない室内でも、何だかふくらはぎ辺りがスースースカスカ冷たい感覚。

それは、まるで、体全体が冷たい水をたたえている瓶(かめ)のよう。
だから、冷房の入った場所に行くと、その寒冷感はさらに強く、他の人が多少涼しすぎるわぐらいのときに、私一人はフリースの膝掛け、ウールのブラウス、ウィンドブレーカーを上にはおり、諸陽の会である頭に風が来て頭痛がしそうになると、さらにフードもかぶっています。
外からは目立たないように、冬用のキャミとスパッツも付けてます。

一昨年具合が悪くなったときは、外の日陰でさえ寒すぎるくらいだったので、それに比べればまだましと思っていたのですが、どこもかしこも冷房している屋内のこと。
母とランチを食べにレストランを探すにも、冷房のきつくないところをチェックしなければなりません。
これは、尋常なことではありません。

冷しすぎの社会が悪いー、といっても、今現在の状態に体が堪えられなければ日常生活もままならず。

こんなときは牛車腎気丸(八味地黄丸に牛膝と車前子が入って下半身の利水ができて、もちろん体を温めます)かなあ、と漢方薬局に行き、症状を説明することしきり。
すると、ご夫妻ともども、「それだったら苓姜朮甘湯」とおっしゃいます。

どうやら、下半身が冷たい水の中にいるみたい、という症状のときにぴったりの方剤のようです。
散薬になっているのでお湯で飲めばオーケー、しっかり1日3回15日飲むつもりです。

『中医臨床のための方剤学』をひくと、こう書いてありました。
主治:腎著(寒湿停着肌肉)
『金匱要略』には、
腎著の病は、その人身体重く、腰中冷え、水中に座するが如く、形は水状のごとく、かえって渇せず、小便は自利し、飲食故のごときは、病は下焦に属す。身労し汗出で、衣裏は冷湿し、久久にしてこれを得る。腰以下冷痛し、腰重きこと五千銭をおびるがごとし、甘姜苓朮湯これを主る。

腰重きこと五千銭をおびるがごとし、で、思わずそのとおりと笑っちゃいました。
いいえて妙です。

組成は、乾姜、茯苓、白朮、甘草なので、別名は甘草乾姜茯苓白朮湯、甘姜苓朮湯、腎著湯となっています。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)というのもあり、生姜ではなく桂枝に代わり、こちらの主治は、水飲・脾陽不足、と記載されています。
脾に効くか、腎に効くかの差が出てるんですね。
一味で処方する意図が変わる、方剤っておもしろいですねえ。

2006年08月11日

どこもかしこも冷房しすぎじゃないの

電車の弱冷房の車両は、とってつけたような車両。
どこが弱冷房なのかわからない。
飛行機の中と同じとしか思えないものもあります。
ちなみに飛行機は23度に設定されているそうです。

隣の車両とのドアがない弱冷房車なんて、いったいそんなのあり?
風が吹かなければまだ体感温度が下がるのはひどくないのですが、どの位置にいってもビュービュー風が吹いているので帽子でガードしないと頭痛が起きてしまいます。

そして、オフィスは個別のエアコンがついているので、ちょっと暑いと思うとすぐエアコンつける人がいる。
お上が、「エアコンの設定温度を28度にしましょう」と声をあげても、どこ吹く風。
外からいきなり室内に入ったときは暑く感じても、馴染めば問題なし。
エアコンつけたい人、消したい人で攻防するのは、いい加減にやめてほしい。

そして、中医学を学んでいる教室が冷えすぎなのはどうかしてる。
「天地人」、人は天と地の間で生きていて、自然の中で暮らしている。
エアコンのどこが自然なのさ。

夏は暑いのが当たり前。
だらだら汗をかきながら授業を受けたいとは決して思いませんが、誰かがくしゃみしたり、服を一枚増やしたりするほど冷やすのは行き過ぎです。

中国人の先生方は、「日本人は冷たいものを食べ過ぎ、だから脾胃を傷めるのよ」と、よくおっしゃいますが、冷房に関してはかなり無頓着としか思えません。

夏は老廃物を汗から出して、普段活動している腎の機能を助け、腎を養生する季節。
ここで、エネルギーを貯めずして、いったいどの季節に腎を養生するのさ。
日本人は、腎虚が多いと聞きます。
精をつける(腎精)ということは、食物からだけでなく自然のリズムにしたがって生活するということも大切なことです。
体の冷やしすぎは、インポを助長、もしくは作ると思います。
出生率が下がっているのにも影響しているのでは?、と疑っている私です。

2006年07月31日

船越さん、お疲れのようですね(ソロモン流)

時代の最先端を行く方をクローズアップし、案内人に船越英一郎さんを配した番組「ソロモン流」。
先日は、家庭料理研究家の山本麗子さんでした。

番組の中程で、いつも船越さんがレストランやら、健康にまつわる場所に行って体験するコーナーがあり、この日は漢方と鍼灸とマッサージを組み合わせた治療院が紹介されました(名前は忘れてしまいました)。
問診後に、船越さんに処方されたのは『牛車腎気丸変方』でした。

腎気丸は『金匱要略』に記載されている方剤で、『八味地黄丸』といった方が名前が通っているかもしれません。
腎陽虚(エネルギーが不足していて、手足が冷たい)の人によく使われます。

『牛車腎気丸』は、腎気丸にさらに牛膝車前子を加えたもの。
利水効果を高めて、腰膝などの下半身に効かせることができます。
船越さんは、腰痛がひどくなって入院してしまい、、ぐるナイの「ゴチになります」に、代理で奥さまを立てたことがありますよね。

腎虚や腎陰虚や腎陽虚になると、腰痛を起こしたりします。
それは、腎が髄を主さどっているからですが、腎陽虚である私も疲れると腰痛を起こします。
腎陰虚と診断された友人も、腰痛持ちです。
腰痛イコール腎虚ではありませんが、腎を養うことがいかに重要なことなのか、何かにつけて思い出させられます。

薬膳では、腎を養う食物は黒い色をしているといいます。
黒豆、黒胡麻、黒米など、みなさまも探してみてくださいね。

2006年07月24日

なぜ女は七の倍数で、男は八の倍数で成長するのか

『黄帝内経』によると、「女子七歳.腎氣盛.齒更髮長.二七而天癸至.任脉通.太衝脉盛.月事以時下.故有子.・・・・丈夫八歳.腎氣實.髮長齒更.二八腎氣盛.天癸至.精氣溢寫.陰陽和.故能有子.・・・・」

と、女は7の倍数、男は8の倍数で肉体に変化が起るとあります。
「なぜ女は7で、男は8なのか」と、高橋楊子先生(上海中医薬大学日本校講師)に質問した方がいたそうです。
それで、先日来セミナーを受講している者にも同じ質問が出されていました。

しかし、こんな哲学的な問題、わかる人はいませんでした。
先生は、上海に帰ったときに大学教授にも質問したそうです。

教授は「良い質問ですね。ちょっと考えさせてください。」と言ったそうですが、帰国しなければならなかった先生は日本に帰って易経を読んでいたときに、答がわかったということです。

易によると、「天一水生、地二火生、天三木生、地四金生、天五土生」といい、1〜5は基本の数字。

方位に関しては下図の通りでよいのかどうかよくわかりませんでしたが、五行の東西南北に照らし合わせるとこうなると思います。

1水
4金 5土 3木
2火

そして、数は基本となる生数に土の気である5を加えて成り立つ6〜10を成数と呼ぶのだそうです。

生数(すべての数の基本) 1 2 3 4 5
成数(土の気である5を加えたもの) 6 7 8 9 10

さらに、その成数を陰陽に分けると、奇数は陽で、偶数は陰、陽の気はプラスすることで大きくなり、陰の気はマイナスすることで大きくなるので、7は少陽、8は少陰になります。

奇数 7 9
少陽 太陽
偶数 6 8
太陰 少陰

成長過程では男は少陽の体を持っているので、少陰を掛け合わせることでバランスがとれ、女は少陰のからだを持っているので、少陽を掛け合わせるとバランスがとれる。

だから、男は少陰の数字である8の倍数、女は少陽の数字である7の倍数で成長していくということです。

2006年06月19日

そういえば女性専用車って寒いですね

以前にも電車の冷房がきつくて困るということを書いたことがありますが...

つい最近の朝日新聞で、女性専用車両の冷房がきつくて困るという記事が載っていました。
弱冷房の車両だと女性専用車両とはわかりにくく、わかりやすい最後尾の車両にしたために、弱冷房にならないとかなんとか。
今の弱冷房の車両を女性専用車両にすると、男性でも弱冷房を必要としている人が困るとか。
そんな理屈ってあるの?
最後尾も弱冷房車にしてしまえばいいのにというのが、私の意見ですが、どうも鉄道会社はそういうつもりはないらしい。

冷房の設定は車庫でしかできないとか、なんとか。
混乱を避けるためとか、なんとか。

暑いとお客通しのトラブルが発生しやすいから、ギンギンに冷やしておこうという魂胆が見え見えです。
まるで、冬眠させれば、生物が活動状態をおとすとでもいいそう。

我々は、混乱なく輸送されなければならない家畜と同じなんでしょうか。

人は自然の中で生活しているので、暑くなれば体がそれに対応するようにできています。
電車も冷房、オフィスも冷房、お店も冷房では、夏は暑いからそれに対応した薬膳を、なんて理論は成り立たなくなりますよね。
体は冷やしすぎると、良いことはありません。

2006年05月26日

ベジタリアンは健康になれる?

以前、大人になってから罹った喘息のため体質改善するために、自然食を取り入れていました。
昔の日本の食卓にのぼったメニューいっぱいの素朴で質素な食事です。
主流は玄米菜食で、あの頃は、かなり食べないものが多かった。
肉、卵、コーヒーなど。

ほとんど好き嫌いがない食生活だったので、かえって除外する食品があると楽しんだりして。
今は、猫を飼っている影響と、薬膳を勉強していて、薬膳は特に中年以降の人に効果のある食べ物だと感じているので、玄米菜食主義に戻る気はありません。

だって、完全に玄米菜食にすると、いろいろ食べれないものがあって、かえってストレスがたまってしまうからです。
加工食品の材料に卵が入ってるとか、牛乳を使ってるとか、ソースに肉のエキスが入っているとか。
そこで、自然食品店のお世話になるのですが、ソイミート(なぜ肉という名前がつくのか)とか、グルテンバーグとか、肉恋しや〜、という意識が見え見えの商品を見ると、かえって情けなくなってしまいます。

野菜そのものは大好きですが、なぜ植物そのものを生かした料理ではなく、肉の代替品や牛乳の代替品の料理にならなければいけないのか。
それは、「野菜に対する冒涜」ではないのか。
もし、ベジタリアンをするのなら、動物性食品とはきっぱり訣別したほうが、よっぽどすっきりすることでしょう。

しか〜し、植物だけで旨味を出すのは、動物性食品の味を知ってしまった舌にはむずかしい。
よっぽど、体調がすぐれない人や食べ物に思い入れがない人、主義を貫き通せる人でなければ続けられないでしょう。

昔の人が、「四つ足は血がけがれる」といったように、確かに高蛋白質の動物性食品を取り続けていると、血液もサラサラとは流れていかず、瘀血がたまりやすくなるようです。
私が、現在、風邪を引いてもそれが引き金になった喘息の発作を起こさなくなったのも、食物での体質改善が効いたと思っています。

でもここのところは、肉や魚の一品料理を考え出す方が簡単で、調理も比較的たやすい(野菜だと切る手間がかかる)ので、メイン料理にすることが多かったのです。
しかし、これではいけない、ちょっと見直し、点検、軌道修正しなければ。

これから先は野菜中心で、肉や魚は野菜料理の味出し程度、焼き魚やハンバーグなどの料理を作ってしまったら、それを上回る野菜を一緒にとるつもりです。
人間の歯の構造からすると、親不知も勘定に入れると、8×4で32本あり、肉食に適した犬歯は4本しかありません。
ここから察すると、4/32で1/8は肉食してもよいということになります。
逆にいうと、肉の8倍は植物をとらなければいけないということになります。

ECO的立場から見ると、植物は人間が直接摂取してこそ生産コストがかかりませんが、肉や魚に飼料用としてまわされると非常に高価なものになります。
野菜中心の方が食費が少なくてすみますね。

(薬膳はどうするのさ、というツッコミに対しては、次回)

2006年05月17日

紅茶・コーヒーが温でプーアールは寒なの?

北京中医薬大日本校監修で、日本中医食養学会編の「食物性味表」が、刊行されました。
私めも、薬膳研究科に所属しているので、一冊いただきました。

以前から、コーヒー、紅茶などが温性を持つのか凉性を持つのか、いろいろいわれているので、さてこの本ではどうなっているのかな、と覗いてみると、

あらあら、紅茶やコーヒーが温性なのに、なぜかプーアール茶は寒性になっています。
プーアール茶の作用の中には、「生津解毒、瀉熱」とまで書いてある。

エエーッ、そんなことあるのお?
私は、結構プーアール茶をよく飲んでいるのです。
陽虚(冷え性)なのに、それでは逆をいくようなもの。
けれど、自分の体では、プーアールは、寒や、まして瀉熱とは感じられません。
自分の体感からすると、日本茶の方が凉だと思ってます。
後で冷えますから。
プーアールはそんなことはないんですよね。
なぜ、寒?.......

どこぞの文献を基準にしたのか?
そのへんの細かい部分までは記載されていないので、よくわかりません。

ちなみに、北京で買ってきた『茶飲養生事典』三采養生館 には、

飲用普洱茶能促進血液循環、加快新陳代謝、使身軆温暖、改善女性四肢冰冷現象:喝時加上幾辺乾姜可更具療效。 其温和之特性較不傷胃、適合多数人飲用。

とあります。
血液循環をよくし、新陳代謝を促し身体を温め、女性の冷え性を改善する。
乾姜(乾燥した生姜)を加えるとさらによい。
その温和の特性は胃を傷つけず、多くの人に適している。
とのこと。

私は、こちらの意見の方が合っていると思うんですけどね。

2006年04月27日

ホシノ酵母は便秘に効く?

先日、パン教室に行きましたら、一人の方が先生に質問していました。
「先生、この酵母は便秘に効きますか?
私、今まで便秘ぎみだったんですけど、こちらのパンを朝晩いただくようになって、便秘が治ったんです。」

先生は、
「私は、もともと便秘ではないので気がつきませんでした。」
と、答えていました。

それ以来、酵母と便秘について、自分の体に問いかけています。
ここのところ、私も、昼と夜はパンのことが多く、ほとんど玄米ご飯を食べることができません。
それでも、1日に2回もお通じがあったりすることもあるので、やっぱり酵母は効くのかなと.....

もちろん、高温で焼かれてしまったパンの中には生きている酵母はいませんが、腸に到達したときにスムーズに食物残滓が体外に出られるような環境を作り出しているとは考えられます。

残念ながら、私の手持ちの本には酵母の四気や五味は載っていないので、詳しいことはわかりませんが、少なくとも自分で試している分には、便秘に効くと思います。
私は陽虚タイプなので、他のタイプの便秘の方にも効くかどうかはわかりませんが、ひょんなところからホシノ酵母の魅力を再発見。

ちなみに、ホシノ酵母はいろいろな種類が出ていますが、この場合はオーソドックスな昔からあるタイプの酵母のことを言っています。

2006年04月13日

陽虚だから電車の冷房は困るの

私は体質的に陽虚、体を温める能力に万人との開きをけたたましく感じます。
環境と自分の間に、しっかりとした壁がありません。
暑ければ暑さをすぐ感じ、寒ければ寒さをすぐに感じ取ってしまう、アレルギーの敏感体質。

中医学的にいうと、衛表不固(えいひょうふこ)、体表を衛っている衛気(えき)の守りが弱い状態にあります。
バリアがちゃんと働いていないと申し上げると、わかりやすいかと思います。
おまけに悪風(おふう)、風を嫌う、はしょっちゅう起き、ちょっと涼しい風でも常にあたる状態にあると、下半身がすぐに冷えてしまいます。

よく、手足が冷えるのは冷え性とかいいますが、私の場合は太股やふくらはぎ、足の甲や足の裏が冷え、手は割と温かいのです。
だから、手が冷えてくるほどの環境に置かれるともう大変。
恥も外聞もなく、皆や先生に訴えるとか、着込むものや膝掛けを持っていたら、しっかり身につけます。

ところが、電車の冷房は本当に困る....
弱冷房の車両を選んで乗っていても、それでも長く乗っていると冷えてしまいます。
おまけに、朝はまだ体温が上がっていないのに、地下鉄銀座線は冷蔵庫のように4月から冷房が入ります。

人が多く、暑いと不快指数も高まり、イライラしてトラブルも多くなる、そこで冷やせばいいとでも鉄道会社は思っているのでしょうか。
もっと、自然の風を取り込んで、レトロに窓を開けるとか、暑ければ服を脱ぐとかして、調節できればいいと思うのに、否が応にも強制的に冷房の中に身をおかざるを得ない状況です。
窓が開いていて涼し過ぎるなら、そこを避けるとかできるのに、全車両冷房では、それもできません。

もっと、自然の環境に身をまかせる、ってことできないんでしょうか。

2006年04月12日

春から冷房するのはよくないと思うんですけど

最近の日本は何か変。
温度管理をすべてエアコンでやってしまおう、という風潮があるような気がしてなりません。

春は木の芽が吹き、万物が冬眠状態だった冬から暑い夏に向けて、伸びやかに生長する時期。
人間だって、動物の一種、寒い冬には脂肪という衣をまとい、寒さに対応するよう、エネルギーを貯め込むようにできています。
中医学では、冬は閉蔵の季節というんですよね。

だから、春になると新陳代謝が活発になり、肝の調子も亢進しがちになり、何だかイライラしたり精神状態は安定しない、なんてことが起る訳です。
亢進しがちな肝のために、清熱(いわゆる体内の熱をさます)効果の食物を食べるとよい、といわれますが、周りがみな冷房していて、冷房の中で1日中暮らしていたら(そんなオフィスありそうですね)、体にとっては冬と同じか、ひょっとしたら冬より冷えているかもしれません。

動物も人間も自然界に存在し、自然の中で生きています。
不自然な環境が、本来あるべき人間の健康を妨げていると思いませんか。

2006年03月06日

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)が効くかしら

私は元々陽虚体質(体が冷えている)で、人様が寒いと思わない温度帯でも寒さを感じる内寒(体の中に冷えがある)があります。
それに、生まれたときからのアレルギー体質で、喘息の持病もあります。
要するに、虚弱体質で、特に薬物アレルギーになりやすく、アレルギー性鼻炎でもあるし、花粉症のシーズンの春が一番アレルギー度が高くなります。

ここに来て、口の周りが乾燥して皮がむけてくるし(胃陰不足?)、ゲップとオナラが出るようになってお腹は膨れるし、食欲もあまり出てきません。
最初は胃陰不足ということで『虚』の状態といわれ、麦門冬湯(ばくもんどうとう)で補っていたのですが、だんだんこれは『虚』ではなく『実』なのではないかという症状になってきてしまいました。

不足しているなら補わなければなりませんが、『実(正気と邪気が戦っている状態)』なら、補うのではなく反対に瀉さなければなりません。
瀉とは余っているものを取り除くという意味です。

心下痞(みぞおちのつかえ)があるため、相対的に上の方は暑さを感じやすく、それなのに下の方(脚部分)は寒さを感じるといった状態なので、『半夏瀉心湯』が効きそうな気がしました。
漢方薬局でそれを手に入れ、只今お試し中です。

ひどいゲップ状態はおさまってきて、食欲も戻りつつあります。
これで、お腹の脹りがなくなってくれば、ドンピシャッだったことになります。

もし、この記事を読んで『半夏瀉心湯』を試してみたいと思われた方がいましたら、薬局に相談なさってください。
中医学における『証』が合っていなければ、効くとは限らないのですから。

2006年02月28日

薬膳ではなぜ基本的に皮をむかないか

初めての実習の時間は、岡本先生の山芋の入ったお粥でした。
山芋をよく洗って、皮のついたまま角切りにしたものを入れた白粥でした。
山芋は煮ると、ほくほくして、生で食べるのと違ってとってもおいしいんですよ〜。

それがすっかり気に入ってしまい、うちの週末の朝御飯にはよく登場します。
お米からではなく、簡単にご飯から作るので、正確にいうと雑炊ということになりますが。

山芋の髭根の部分は、「気になるようなら、ガスの火で焼いて」と先生はおっしゃっていましたが、それほど長くもないので、家ではたわしで良く洗ってそのまま入れてしまいます。

このときの授業でも、皮をつけたままだと農薬が気にならないかという質問が出ました。
先生の意見は、気になるようなら皮をむいてください、ということでした。

でも、りんごにしろ人参、大根にしろ、無農薬もしくは減農薬のものを使って、皮も基本的につけて料理したほうがアレルギーには効くと私は思います。
もし、皮をむいてしまったりんごや人参をそのまま置いていたら、腐ってしまうでしょう?
皮があることで、実が腐らないように防御しているのです。

中医学では、体表に衛気(えき)という体を守っている気(運動エネルギー)が流れていて、外邪から防衛していると考えています。
アレルギー体質の人は、衛表不固(衛気の機能低下)になりやすく、腠理(いわゆる毛穴)の開閉がスムーズにいかずに人が汗をかいていないときでも、一人だけだらだら汗をかいたりすることがあります。

以臓補臓の考え方からすれば、体表の防衛力不足には皮を食べるのが望ましいのでは、ということなんです。
それに、草根木皮みな薬。
中国人の先生たちは、「日本人は、くすりになる部分をゴミにして捨てている」と、よくおっしゃいます。

2006年02月08日

マクロビオティックは中国陰陽の思想ではないの?

先日、マクロビオティックのお弁当を食べたりしたので、何だかマクロビオティックが気になって、以前買った本を読み返してみました。
それは、チャヤが作ったお料理で、久司道夫さんの記事>が掲載されたものでした。

それによると、

遠心的な力は「陰」で求心的な力は「陽」

甘いもの・酸っぱいものは「陰」で、塩辛いもの・苦いものは「陽」
とあります。

んんんん、我々が習った五味の陰陽とは違う。
あわてて、確かめるべく、
「中医基礎理論」の本を開けます。

辛、甘、痰属陽、酸、苦、鹹属陰。

酸、苦は陰と書いてあります。
(簡体字では、陽はこざとへんに日、陰はこざとへんに月です。比較的わかりやすいですよね。)

マクロビオティックの陰陽の考え方は、中国のものとは違うようです。
友だちも、薬膳を勉強する前にどこが良いか探していて、本草薬膳学院にてお話をうかがったときに、やはりマクロビオティックの考え方は中医学とは違うとおっしゃったそうです。

薬膳は、食物の陰陽より、五味(酸・苦・甘・辛・鹹)や、四性(寒・熱・温・凉)、それに昇降浮沈(その食物が人間に発散作用を起こさせるものか、沈降作用を起こさせるものか)の方を重点的に考えます。
その辺も、マクロビオティックとは異なるところです。

そういえば、薬膳の最初の実習のときに、岡本先生(北京中医薬大日本校の講師)が、
「マクロビオティックを勉強してきた人が薬膳を勉強しに来て、陰陽の話をしたら、『マクロの考え方と違ってます!』 と、言われちゃったんです。」
と、おっしゃっていましたっけ。