草根木皮みな薬
 

薬膳や中医学を勉強している方、
知りたい方に送る薬膳や中医学情報

足の陽明胃経
Points of Stomach Meridian of Foot-Yangming, ST45

鼻に起こり、之きて頞中(鼻梁)に交わり、旁ら太陽の脈を納め(約し)、下りて鼻外を循り上歯の中に入り、還り出でて口を挟みて唇を環り、下りて承漿に交わり、却きて頤後の下廉を循り、大迎に出で、頬車を循り、耳前に上り、客主人を過ぎり、髪際を循り、額顱に至る。
其の支れたる者は、大迎の前より人迎に下り、喉嚨をめぐり、缺盆に入り、膈を下り、胃に属して脾を絡う。
其の直なる者は、缺盆より乳の内廉に下り、下りて臍を挟み、気街の中に入る。
其の支れたる者は、胃口に起こり、下りて腹裏を循り、下りて気街の中に至りて合し、以て髀関に下り、伏兎に抵り、膝臏の中に下り、下りて脛の外廉を循り、足跗に下り、中指の内間に入る。
其の支れたる者は、廉を下ること三寸にして別れ、下りて中指の外間に入る。
其の支れたる者は、跗上に別れ、大指の間に入り、其の端に出づ
足陽明の別は、名づけて豊隆と曰う。踝を去ること八寸、別れて太陰に走る。其の別れたる者は、脛骨の外廉を循り、上りて頭項を絡い、諸経の気を合して、下りて喉嗌を絡う。其の病や気逆すれば則ち喉痺し瘁に瘖す。実するは、則ち狂癲す、虚するは、則ち足収まらず、脛枯る。これを別るる所に取るなり。
霊枢・経脈』参照

記号 経穴 位置 取穴 解剖 意味 主治 要穴 交会
ST1 承泣(しょうきゅう)
鼷穴
在目下七分、直目瞳子(甲乙) まっすぐに座り、両目を直視し、瞳孔の下7分、眼球と眼窩下縁の間に取る。 眼輪筋中 承は受ける、泣は涙を流して哭くの意味。涙を流して哭いているのを受ける穴の意味。 眼瞼のひきつれ、目赤腫痛、迎風流泪、夜盲症、顔面神経麻痺
睛明治近視
※1 疏風清熱、明目止痛
  陽蹻、任脈、足陽明之会
ST2 四白(しはく) 在目下一寸(甲乙) まっすぐに座り、両目を直視し、承泣直下3分、眼窩下孔陥凹に取る。 眼輪筋と上唇挙筋 四は四方八方、白は明るいの意味。本穴は目の下にあり、視力回復に鍼を使えば光明四射する。 目赤痛、痒み、目翳、眼瞼のひきつれ、迎風流泪、頭面疼痛、顔面神経麻痺、眩暈
湧泉大杼治頭痛・目眩
※1 清熱止痛、袪風明目
   
ST3 巨髎(こりょう) 在侠鼻孔傍八分、直瞳子(甲乙) 両目を正視し、瞳孔直下と鼻翼下端が水平に交わるところに取る。 上唇挙筋、深層は口角挙筋 巨は大きい、髎は空隙を指す。空は頬骨の下の大きな陥凹。本穴は頬骨と上顎骨の接合部にある。 顔面神経麻痺、眼瞼のひきつれ、鼻血、歯痛、唇頬腫、目翳
下関合谷治上歯痛
風明目、通鼻竅
  陽蹻、足陽明之会
ST4 地倉(ちそう)
会維、
胃緯
侠口旁四分(甲乙) 巨髎の下で口角と水平に交わるところ、だいたい口角の傍ら4分に取る。 口輪筋中、深層は頬筋 唇は顔面の下部にあり、倉は蔵谷。口をもって谷に入り、故に倉という。脾は口・土をつかさどり、倉廩の官である。 唇緩不収、眼瞼のひきつれ、顔面神経麻痺、歯痛頬腫、よだれ
※2 袪風扶正、通絡止痛
  陽蹻、手 陽明・足陽明之会
ST5 大迎(だいげい)
髄孔
在曲頬前一寸三分、骨陥者中動脈(甲乙) 下顎角前下方1寸3分、口筋付着部前縁、下顎骨上に取る。
簡便法は、口を閉じ頬を膨らまし、下顎角の前下方に出現する溝状の陥凹に取る。
咬筋の停止部の前縁 迎は迎合すること。下顎骨前方の骨を大迎骨と称する。本穴はまさにこの場所に相当する。 牙関緊閉、口噤、頬腫、歯痛、顔面浮腫、顎関節脱臼、唇の引きつれり、頚部リンパ結核、頸痛
巨髎頬車治顔面神経麻痺、配顴髎聴会曲池治歯痛・悪寒
袪風通絡、消腫定痛
   
ST6 頬車(きょうしゃ)
鬼床、
機関、
曲牙
在耳下面頬端陥者中、開口有孔(甲乙) 口を開け下顎角前上方一横指陥凹中にとる。上下の歯をしっかりと噛みしめたとき、口咬筋の盛り上がった最高点に取る。 咬筋中 耳前側面を頬といい、下顎骨の古称は頬車骨である。口を開閉させる蝶番の中に本穴がある。 顔面神経麻痺、頬腫、歯痛、牙関緊閉、声がれ、頚部強痛
風池肩井少海後谿前谷治頭強痛
※2 袪風清熱、開竅活絡
   
ST7 下関(げかん) 客主人下、耳前動脈下空下廉、合口有空、張口即閉(甲乙) 頬骨弓下縁で、下顎骨関節突起の前方に口を閉じて取る。 皮膚下には耳下腺、深層は咬筋 関は機関の意味。本穴は下顎関節のところにあり、上関と相対している。 歯痛、顔面疼痛、難聴、耳鳴、中耳炎、顎関節開合不利、顔面神経麻痺、眩暈
上関頬車合谷治下顎関節炎、配陽谿関衝液門陽谷治耳鳴、配大迎翳風完骨治歯痛
※2 袪風活絡、開竅益聡
  足陽明、足少陽之会
ST8 頭維(ずい)、
顙大
在額角髪際、侠本神両旁各一寸五分(甲乙) もみあげ前縁の直上、髪際を5分入ったところに取る。 神庭穴より4寸5分外方 側頭筋上縁で帽状腱膜中 維は角の意味で、本穴が側頭部の額角にあるから。 眼痛、頭痛、目眩、迎風流泪、眼瞼のひきつれ、物がはっきり見えない
天柱攅竹治眩暈、配睛明頭臨泣風池迎風流泪、配攅竹治眼瞼痙攣
※2 袪風泄火、清利頭目
  足少陽、足陽明之会
ST9 人迎(じんげい)
天五会、
五会
在頸、大動脈応手、侠結喉(銅人) 喉頭隆起と水平で胸鎖乳突筋前縁、喉頭隆起の1寸5分外方に取る。 広頸筋で胸鎖乳突筋の前縁 本穴は喉仏の両側の拍動部で、まさに切診の人迎脈の部位にある。古代より、天地五臓の気は人を養うといわれている。 胸満喘息、咽喉腫痛、頭痛、高血圧、頚部リンパ結核、甲状腺腫、嚥下困難
通調経気、散結平喘
   
ST10 水突(すいとつ)
水門
在頸大筋前、直人迎下、気舎上(甲乙) 人迎気舎の中間、胸鎖乳突筋の前縁に取る。 広頸筋中で胸鎖乳突筋と肩甲舌骨筋が上方で交差するところ 本穴は人迎の下で、喉仏のかたわらにある。主治は、水を飲んでむせる、咳き込む。 咳逆上気、喘息不得臥、咽喉腫痛、肩腫、しゃっくり、頚部リンパ結核、甲状腺腫
天突治甲状腺腫大
寛胸理気、降逆平喘
   
ST11 気舎(きしゃ) 在頸、直人迎下、侠天突陥者中(甲乙) 鎖骨内側端上縁、胸鎖乳突筋の胸骨頭と鎖骨頭の間に取る。小鎖骨上窩中央 広頸筋、胸鎖乳突筋の胸骨頭と鎖骨頭の間 気は宗気、舎は居所。本穴は胸中に宗気が集まる場所。 咽喉腫痛、喘息、しゃっくり、甲状腺腫腫、リンパ結核、頚項強痛、肩腫
清肺利咽、理気散結
   
ST12 缺盆(けつぼん)
天蓋
在肩上横骨陥者中(甲乙) 乳頭線直上、鎖骨上窩中心線上に取る。 広頸筋、肩甲舌骨筋の中間腱 喉仏の下、鎖骨の上の陥凹で本穴はその中にある。 咳嗽気喘、咽喉腫痛、缺盆中痛、頚部リンパ結核
肺兪治哮喘
通経活絡、止咳平喘
   
ST13 気戸(きこ) 在巨骨下、輸府両旁各二寸陥者中(甲乙) 乳中線直上、鎖骨中央点下縁、仰臥して取る。 大胸筋の起始部で深層の上方は鎖骨下筋 気戸は気の出入口の門戸。本穴は肺気や胃気の粛降をつかさどる。 気喘、咳嗽、胸脇脹満、吐血、しゃっくり、胸背・季肋部痛
雲門天府神門治喘逆上気
寛胸理気、止咳平喘
   
ST14 庫房(こぼう) 気戸下一寸六部陥者中(甲乙) 乳頭線直上、第1肋間隙、仰臥して取る。 大胸筋、小胸筋 庫は物を蔵すところ、房は房舎を指す。本穴は肺疾患に使われることが多く、気戸から入った気を深部の肺に貯蔵する様をたとえた。 咳嗽、気逆、咳に膿血が混ざる、季肋部疼痛
肺兪膻中治慢性気管支炎
屋翳膏肓兪治上気咳逆
清熱化痰、理気寛胸
   
ST15 屋翳(おくえい) 庫房下一寸六部(甲乙) 乳頭線直上、第2肋間隙、仰臥して取る。 大胸筋、小胸筋 本穴は庫房の下、膺窓の上にあり、ちょうど屋根のひさしのような状態である。 咳嗽、気喘、唾膿血痰、季肋部脹痛、乳瘍、皮膚疼痛、手足の痙攣、全身浮腫
大椎肺兪尺沢治気管支哮喘
理気寛胸、止咳平喘
   
ST16 膺窓(ようそう) 屋翳下一寸六部 乳頭線直上、第3肋間隙、仰臥して取る。 大胸筋、小胸筋 膺は胸、窓は孔の意味。通気の穴のたとえ。 咳嗽、気喘、季肋部脹痛、乳瘍
乳根肩井曲池上巨虚太衝治急性乳腺炎
寛胸理気、止痛消腫
   
ST17 乳中(にゅうちゅう) 乳中(甲乙) ちょうど乳頭上、この穴位は禁鍼禁灸。胸腹の取穴の固定表示とし、両乳頭の間を8寸とする。   乳は乳房のことで、乳頭の中央にあるから。 禁忌    
ST18 乳根(にゅうこん) 在乳下一寸六分陥者中(甲乙) 仰臥位で乳頭直下、第5肋間隙に取る。 大胸筋の下部、小胸筋 根は根っこ、底の意で、乳房の根部にあるから。 咳喘、胸悶胸痛、乳瘍、乳汁少
寛胸理気、通乳化瘀
   
ST19 不容(ふよう) 幽門旁各一寸五分、去る人脈二寸(甲乙) 仰臥位で臍の上6寸、巨闕の傍ら2寸に取る。 腹直筋および腹直筋鞘で深層は腹横筋 容は受納の意。胃が水穀受納できない腹満の状態を治す。 腹脹、嘔吐、胃痛、食欲不振、喘咳、嘔血、心痛、胸背季肋部痛
調中和胃、理気止痛
   
ST20 承満(しょうまん) 不容下一寸(甲乙) 仰臥位で臍の上5寸、上脘の傍ら2寸に取る。 腹直筋尾び腹直筋鞘で深層は腹横筋 承は受納、満は充満。本穴は不容の下にあり、水穀の量が満タンだから。 胃痛、嘔吐、腹脹、腸鳴、食欲不振、喘逆、吐血、脇の下の堅痛
中脘乳根治胃痙攣
調理化滞、理気和胃
   
ST21 梁門(りょうもん) 承満下一寸(甲乙) 仰臥位で臍の上4寸、中脘の傍ら2寸に取る。 腹直筋および腹直筋鞘で深層は腹横筋 中脘の傍らにあり、経気が巡る所で最も重要な箇所を梁または関という。本穴は胃気の出入りする重要な門戸。心下痞満を伏梁という。胃のつかえ、消化不良、胃の脹満に効く。 胃疼痛、嘔吐、食欲不振、未消化便
梁丘日月治胃潰瘍
※3 健胃調中、和胃理気
   
ST22 関門(かんもん) 梁門下、太乙上(甲乙) 仰臥位で臍の上3寸、建里の傍ら2寸に取る。 腹直筋および腹直筋鞘 梁門の下、太乙の上で、胃気の出入りする重要な門戸である。 腹痛、腹脹、腸鳴泄瀉、食欲不振、水腫、遺尿
神門委中治遺尿
和胃調中、理気化滞
   
ST23 太乙(たいいつ) 関門下一寸(甲乙) 仰臥位で臍の上2寸、下脘の傍ら2寸に取る。 腹直筋および腹直筋鞘 太は通解、乙は腸が曲がりくねった様子を乙の形にたとえている。腸を順に通し、本穴が腸疾患を主治としていることから。太乙は北極星のことでもある。 うつ病で精神錯乱、心悸、胃痛、消化不良
鎮驚化痰、和胃止痛
   
ST24 滑肉門(かつにくもん) 太乙下一寸(甲乙) 仰臥位で臍の上1寸、水分の傍ら2寸に取る。 腹直筋および腹直筋鞘 滑はなめらか、肉は肌肉の意味。陽明は肉をつかさどる。本穴は脾胃の疾患を主治とし、脾胃の門を通利する。 うつ病で精神錯乱、嘔吐、胃寒
天枢下巨虚治痢疾
鎮驚化痰、健胃止嘔
   
ST25 天枢(てんすう)、
長渓、
谷門
肓兪一寸五分、侠臍両旁各二寸陥者中(甲乙) 仰臥位で臍中、神闕の傍ら2寸に取る。 腹直筋および腹直筋鞘 天は臍上、臍下は地に相当する。枢は枢軸、要所を指す。本穴は臍のかたわらにあり、上下腹を分け、天と地の境の要所にある。古代では、北斗七星のα(ドゥーベ)を天枢といった。 大腸疾患、臍の絞腹痛、嘔吐、腹脹、腸鳴、腹中の腫瘍、痢疾、泄瀉、便秘、虫垂炎、月経痛、月経不順、熱がひどくうわごと、少腹部から性器にかけての痛み、水腫
大巨気海足三里治細菌性下痢、配志室腎兪治食不化
※3 健胃和胃、調経導滞
大腸募穴  
ST26 外陵(がいりょう) 天枢下、大巨上(甲乙) 仰臥位で天枢穴の下1寸、陰交の傍ら2寸に取る。 腹直筋および腹直筋鞘 外は正中線の外側、陵は突起した所を指す。腹直筋隆起のところ。 腹痛、少腹部から性器にかけての痛み、月経痛、心臓から臍までひきつるように痛む
和胃化湿、理気止痛
   
ST27 大巨(だいこ)
腋門
長渓下二寸(甲乙) 仰臥位で天枢穴の下2寸、石門の傍ら2寸に取る。 腹直筋および腹直筋鞘 巨は大きいの意味。腹直筋の一番高く盛り上がった所にある。 小腹脹満、小便不利、少腹部から性器にかけての痛み、遺精、早漏、興奮して動悸があり眠れない、半身不随、膀胱炎
利湿益気、通絡止痛
   
ST28 水道(すいどう) 大巨下一寸(循経考穴編) 天枢直下3寸、関元の傍ら2寸に取る。 腹直筋および腹直筋鞘 道は通道のこと。通調水道の穴。水液を滲みさせ膀胱に注ぐ役割がある。 小腹脹満、少腹部から性器にかけての痛み、月経痛、小便不利、膀胱炎、膀胱虚寒
筋縮治背強
清熱利湿、通調水道
   
ST29 帰来(きらい)
渓穴
水道下一寸(鍼灸逢源) 仰臥位で水道の下1寸、中極の傍ら2寸に取る。 腹直筋の外縁で内腹斜筋、腹横筋と腱膜 帰は還る、来は戻るの意味。気が帰る場所。婦人の生理不順、不妊症に効き、夫の帰り来たりを待ち子宝に恵まれることを示唆する。 少腹疼痛、閉経、子宮脱、白色帯下、少腹部から性器にかけての痛み、陰茎痛、生理不順、卵巣炎、子宮内膜炎、前立腺炎
子宮関元三陰交治前立腺炎
※3 通経止帯、理気止痛
   
ST30 気衝(きしょう)、
気街
帰来下、鼠鼷上一寸、動脈往手(甲乙) 仰臥し天枢の下5寸、曲骨の傍ら2寸に取る。 外腹斜筋腱膜、内腹斜筋と腹横筋の下部 気は気街、衝は衝脈を指す。足陽明の脈気が上輸し、衝脈が起きるところ。 外陰部腫痛、腹痛、少腹部から性器にかけての痛み、月経不順、不妊、産後諸疾患、インポテンツ、陰茎痛
清熱利湿、益腎調経
衝脈
ST31 髀関(ひかん) 在膝上、伏兎後交分中(甲乙) 仰臥し、上前腸骨棘と膝蓋骨外上縁の連線上、殿部の横紋と水平に承扶に相当するところに取る。 縫工筋と大腿筋膜張筋の間 髀は大腿骨、関は大腿骨上端関節のところ。股関節に近い。 股関節の痿痺、足の感覚麻痺、腰腿疼痛、筋急不得屈伸
承扶委中治股関節痛
疏経通絡、通利関節
   
ST32 伏兎(ふくと) 在膝上六寸起肉間(甲乙) 膝蓋骨上縁の上に6寸、上前腸骨棘と膝蓋骨外上縁の連線上、仰臥位で取る。
(髀関〜膝蓋骨上縁18寸)
大腿四頭筋の筋膜中 伏は伏臥。大腿四頭筋が緊張すると、伏せている兎のように見える肉が隆起したところ。 股関節疼痛、腿膝寒冷、麻痺、脚気、少腹部から性器にかけての痛み、腹脹
疏経通絡、理気活血
   
ST33 陰市(いんし)
陰鼎
在膝上三寸、伏兎下(甲乙) 仰臥し膝蓋骨外側上縁の上3寸、上前腸骨棘と膝蓋骨外側上縁の連線上に取る。 大腿直筋と外側広筋の間 市は集まる所、内は陰を示す。本穴は陰気の集まるところで、温経散寒の効き目がある。寒疝、膝のひどい冷えなど下半身の冷えの症状(陰証)を主治する。 腿膝麻痺・疼痛・屈伸不利、下肢の脳血管障害による運動障害、腰痛、冷えると下腹部が痛む、腹脹腹痛
通経袪寒、理気止痛
   
ST34 梁丘(りょうきゅう) 在膝上二寸両筋間(甲乙) 仰臥し、膝蓋骨外側上縁の上2寸の陥凹、上前腸骨棘と膝蓋骨外上縁の連線上に取る。 大腿直筋と外側広筋の間 小さな山、土地の高いところを丘、その背を梁という。膝蓋骨とその付近の筋肉ができる隆起をそれにたとえる。 胃痛、膝腫、脳血管障害による下肢の運動障害、乳瘍
犢鼻膝陽関陽陵泉治膝関節痛
曲泉陽関治筋痙攣
舒筋活絡、理気止痛
郄穴  
ST35 犢鼻(とくび) 在膝髕下 [月行]上、侠解大筋中(甲乙) 膝を屈し、膝蓋骨下方、膝蓋靱帯外側陥凹中に取る。(注1) 内側は膝蓋靱帯 子牛を犢という。この部位は子牛の鼻のように見えることから。 膝関節痛、脚気
梁丘膝眼治膝関節炎
通経活絡、理気止痛
   
ST36 足三里(あしさんり)
下陵、
鬼邪
在膝下三寸、
[月行]外廉(甲乙)
犢鼻の下3寸、脛骨前縁より外へ一横指、前脛骨筋上、仰向けで膝を立てない状態あるいは膝を立てて取る。(注2) 前脛骨筋、外側は足の長指伸筋 三里はすなわち三寸で、犢鼻の下3寸だから。本穴は三部(上焦・中焦・下焦)の疾患を治療する経穴という意味もある。全身強壮要穴之一 通降腑気、一切の胃腸疾患、胃痛、嘔吐、腹脹、腸鳴、消化不良、泄瀉、便秘、痢疾、喘咳痰多、乳瘍、頭暈、耳鳴、心悸、呼吸困難、うつ病で精神錯乱、妄想して笑う、中風、脚気、水腫、膝脛痠痛、産婦血暈、高脂血症
太白章門治腰痛
※4 健脾和胃、調和気血、扶正培元、通経活血
合土穴・四総穴・胃経の下合穴  
ST37 上巨虚(じょうこきょ)、
巨虚上廉
三里下三寸(甲乙) 臥位、あるいは椅子に座り、犢鼻の下6寸、足三里下巨虚の連線中点に取る。
(犢鼻〜外踝16寸)
前脛骨筋 巨虚は巨大空虚の意味。本穴は、脛骨と腓骨の間の大きな空隙にある。また巨は大腸も意味しており、大腸疾患で邪気が腸内に留まったり、瘀血が滞った場合に、邪気や瘀血を取り去り、気血の流れを通じさせることができる。 大腸疾患、腸中切痛、痢疾、腸鳴、腹脹、便秘、泄瀉、中風後遺症、脚気、腎炎、関節炎
健脾和胃、疏経通絡
大腸経の下合穴  
ST38 条口(じょうこう) 下廉上一寸(甲乙) 仰臥して、犢鼻の下8寸犢鼻下巨虚の連線上に取る。 前脛骨筋 条は狭く長いこと。本穴は上虚虚下巨虚の間にあり、脛骨と腓骨の間の間隙で、その細長い1本の筋が口の形に現れるのが名の由来。 小腿冷痛・麻痺、脘腹疼痛、足背の腫れ、こむら返り、肩臂痛
理気和中、通絡止痛
   
ST39 下巨虚(げこきょ)、
巨虚下廉
上廉下三寸(甲乙) 犢鼻の下9寸条口の下約一横指。脛骨の前縁より一横指外で犢鼻解谿の連線上に取る。 前脛骨筋と足の長指伸筋の間、深層は長母指伸筋 巨虚は巨大空虚の意味。上巨虚の下方で、脛骨と腓骨の間にできる空隙のところ。 小腸病、小腹痛、腰脊痛引睾丸、乳瘍、下肢痺痺、泄瀉、膿血便、風湿性関節炎
陽陵泉治下腹部痙攣
調理腸胃、通経活絡
小腸経の下合穴  
ST40 豊隆(ほうりゅう) 在外踝上八寸、下廉[月行]外廉陥者中(甲乙) 仰臥して、条口の後方約一横指で、だいたい、犢鼻と外踝の最高点の中央に取る。(注3) 足の長指伸筋と短腓骨筋 豊は豊満、隆は隆起の意味。本穴は肌肉が豊満で隆起している所にある。また豊隆とは雷神の名で、雷が地上で起り、巡って雲になり雨を降らせ、後に天が晴れることも由来する。 痰多、哮喘、咳嗽、胸疼痛、頭痛、頭暈、咽喉腫痛、大便すると苦しい、うつ病で精神錯乱、よく笑う、癲癇、下肢痿痺・腫痛
支溝治便秘
※4 健脾化痰、和胃降逆、利湿通便
絡穴  
ST41 解谿(かいけい) 衝陽後一寸五分、腕上陥者中(甲乙) 外踝の尖端に水平で、足背と下腿の境界、横紋中、長母趾伸筋腱と長指伸筋腱の間に取る。(注4) 足の長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間 解とは関節の意味。脛骨と距骨の接合部陥凹にあり靴のひもをほどく所にある。 頭面浮腫、面赤、目赤、頭痛、眩暈、腹脹、便秘、下肢痿痺、胃熱譫語、眉棱骨疼痛
清熱降逆、舒筋活絡
経火穴  
ST42 衝陽(しょうよう)
会原
在足跗上五寸、骨間動脈上、去陥谷三寸(甲乙) 足背部、陥谷から上3寸のところ、足背動脈拍動部に取る。 長指伸筋腱の外側 衝は衝動、陽は足背を指す。足背の高い場所にあり、脈が大きく拍動し、手に触れる。 胃痛腹脹、食欲不振、顔面神経痛、面腫歯痛、足痿無力、脚背紅腫、
風湿性関節炎
和胃化痰、寧心通絡
原穴  
ST43 陥谷(かんこく) 在足大指次指間、本節後陥者中(甲乙) 第2・第3、中足指節関節の後、第二第三中足骨の結合部の前の陥凹中に取る。 第二背側骨間筋 本穴は第二第三中足骨結合部の前方にあり、陥凹部分が山谷のようである。 顔目浮腫、水腫、腸鳴腹痛、足背腫痛
下関顴髎治顔面浮腫
清熱解表、和胃行水
兪木穴  
ST44 内庭(ないてい) 在足大指次指外間陥者中(甲乙) 第2中足指節関節前方、第2・第3指が逢うところの横紋部に取る。 足背静脈網 深部を内といい、居住地を庭という。本穴は門庭の内を示す。 歯痛、口乾、喉痺、鼻血、腹痛、腹脹、泄瀉、痢疾、足背腫痛、熱病
環跳治脛痛不可屈伸
清胃瀉火、理気止痛
栄水穴  
ST45 児[(れいだ) 在足大指次指の端、去爪甲角如韮葉(甲乙) 第2指の外側、爪甲根部の角を去ること1分に取る。 指背動脈が形成する動脈網 獅ヘ岸の危険なところの意味。本穴は岸の危険なところに面し、脾脈と通じている。兌は口のことで、口の疾患をつかさどる。 面腫、口乾、歯痛、鼻血、鼻流黄涕、胸腹脹満、足脛寒冷、熱病、悪夢、うつ病で精神錯乱
百会水溝中衝治中暑、配条口三陰交治脛寒不得臥
醒脳開竅、清胃化痰
井金穴  

「経穴概論」教科書小委員会著では
(注1)犢鼻(ST35):膝をたて、膝関節の外側、脛骨の上端で膝蓋靱帯の外縁の陥凹部に取る。
(注2)足三里(ST36):膝をたて外膝眼の下3寸に取る。
(注3)豊隆(ST40):外果の上8寸、条口の外方に一筋へだてた陥凹部に取る。
(注4)解谿(ST41):足関節前面中央、前脛骨筋腱の小指側よりの陥凹部に取る。

※1 穴位主治鑑別表
穴名 共同性 特殊性
承泣 疏風清熱、明目止痛 偏于明目、治療各種目疾
四白 偏于疏風止痛、治療口眼歪斜、面痛等
※2 穴位主治鑑別表
穴名 共同性 特殊性
地倉 袪風、通絡 止痛、偏重于治療口歯痛
頬車 開関活絡、治療面部疾病
下関 開関通絡、治面頬及下顎関節痛
頭維 清利頭目、治療頭痛眩暈、面部疾病
※3 穴位主治鑑別表
穴名 共同性 特殊性
梁門 行気止痛 偏于健脾和胃、治療脾胃虚弱或胃気上逆之嘔吐胃痛等
天枢 可調経導滞、治月経不調、崩漏等証
帰来 偏于調経止帯、用于帯下病、月経病
※4 穴位主治鑑別表
穴名 共同性 特殊性
足三里 健脾和胃降逆 可扶正培元、調和気血、為全身強壮要穴
豊隆 可化痰、利湿、為治痰要穴

このページのトップに戻る