草根木皮みな薬
 

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足の太陰脾経
Points of Spleen Meridian of Foot-Taiyin, SP21

大指の端に起こり、指の内側の白肉の際を循り、核骨(足の大指本節の後内側で突出している円い骨であり、形は果実の種のようなのでこう名づけられる)の後を過ぎり、内踝の前廉を上り、内を上り、脛骨の後を循り、交わりて厥陰の前に出で、膝股の内前廉に上り、腹に入りて脾に属して胃を絡い、膈に上り、咽を挟み、舌本に連なり、舌下に散ず
其の支れたる者は、復た胃より別れて膈に上り、心中に注ぐ。
足太陰の別は、名づけて公孫と曰う。本節の後を去ること一寸、別れて陽明に走る。其の別れたる者は、入りて腸胃を絡う。厥気上逆すれば則ち霍乱す。実するは、則ち腸中切痛す。虚するは則ち鼓脹す。これを別るるところに取るなり。
脾の大絡は、名づけて大包と曰う。淵腋の下三寸、胸脇に布く。実するは則ち身尽く痛む。虚するは則ち百節尽く皆縦む。此の脈、絡之血を羅むが若き者は、皆これを脾の大絡の脈に取るなり。
霊枢・経脈』参照

記号 経穴 位置 取穴 解剖 意味 主治 要穴 交会
SP1 隠白(いんぱく)
鬼塁、
鬼眼
在足大趾端内側、去爪甲角如韮葉(甲乙) 母趾内側、爪甲根部の角を去ること1分に取る。 背側指動脈、浅腓骨神経の分枝 隠は隠蔵を、白は金気の顔色を指す。脾土は金を生み、金気が隠れている。足陽明児[の金を受け、太陰の脈気が起きるところで手太陰の金気が隠れている。 腹脹、暴泄、頻繁な嘔吐、動悸してよく悲しむ、悪夢、胸痛、心痛、胸満、咳と嘔吐、喘息、小児のひきつけ、昏倒、過長月経、崩漏、吐血、鼻血、血尿、血便、うつ病で精神錯乱、多夢、仮死状態
足三里治大便下血
調経統血、開竅醒脳
井木穴  
SP2 大都(だいと) 在足大指本節後陥者中(甲乙) 母趾内側、第1中足指節関節前下方、表裏の膚目に取る。 母指外転筋の止点 大は盛大、豊富、都は都城を指す。本穴は第一指の内側、第一中足指節関節の前にあり、肉が豊かで関節が隆起している。 腹脹、胃痛、消化不良、嘔逆、泄瀉、便秘、熱病無汗、体重肢腫、心窩部痛、横になれない、心煩
隠白治手足清
健脾和中、泄熱止痛
栄火穴  
SP3 太白(たいはく) 在足内側核骨下陥者中(甲乙) 第1中足指節関節後縁、表裏の膚目に取る。 母指外転筋中 太は大、始の意味。本穴は五行の土に属し、土は金を生み、金は白である。本穴は金の始まるところを指す。人体の急病は金に属し、この経穴を用いると効果をあげる。 胃痛、腹脹、腹痛、腸鳴、嘔吐、泄瀉、痢疾、便秘、痔漏、脚気、空腹でも食べたくない、消化不良でゲップ、胸脇脹痛、心痛脈緩、体重節痛、痿証
中脘治胃痙攣、配公孫治腹脹
健脾和胃、通経活絡
兪土穴・原穴  
SP4 公孫(こうそん) 在足大指本節後一寸(甲乙) 第1中足骨底の前下縁、表裏の膚目に取る。太白の1寸後ろ 母指外転筋中 本穴は公孫の脈がある。脾は中土に位置し、四方を灌漑する。中央にいる黄帝は四方に君臨し、黄帝の姓は公孫である。 胃疼痛、嘔吐、消化不良、腸鳴腹脹、腹痛、痢疾、泄瀉、多飲、嘔吐と高熱と下痢がある、水腫、煩心失眠、発狂妄言、嗜臥、腸の感染症で下血、脚気
足三里絶骨申脈崑崙陽輔治脚弱無力
健脾和胃、調理衝任、統血摂血止血
絡穴・八総穴 衝脈の宗穴
SP5 商丘(しょうきゅう) 在足内踝下微前陥者中(甲乙) 内踝前下方陥凹、舟状骨結節と内踝尖端の連線上に取る。 内側足根動脈 商は五音の一つで金に属す。丘は土山の意味。本穴は五行の金に属し、内踝の前下方にある。 腹脹、腸鳴、泄瀉、便秘、消化不良、舌本強痛、黄疸、怠惰嗜臥、うつ病で精神錯乱、よく笑う、悪夢、気分がすぐれず大きなため息が多い、咳嗽、小児のひきつけ、痔疾、足踝痛
関元三焦兪治慢性腹瀉、配復溜治痔血
健脾化湿、調理腸胃
経金穴  
SP6 三陰交(さんいんこう)、
承命、
太陰
在内果上三寸、骨下陥者中(甲乙) 内踝尖端の上3寸、脛骨後縁に取る。 脛骨後縁とヒラメ筋の間、深層は長指屈筋 足の三陰経が交会する。足の三陰経が主治とする疾患をすべて網羅している。 脾胃虚弱、腸鳴腹脹、下痢、消化不良、月経不順、崩漏、赤白帯下、子宮脱、閉経、少腹部の腫塊、難産、産後血暈、悪露不行、インポテンツ、遺精、陰茎痛、少腹部から性器にかけての痛み、水腫、小便不利、睾丸縮腹、遺尿、足痿痺痛、脚気、不眠、神経性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、高血圧
※1 健脾和胃、補益肝腎、調経止帯
肝経、腎経と交会  足太陰、足厥陰、足少陰之会
SP7 漏谷(ろうこく)
太陰絡
在内踝上六寸、骨下陥者中(甲乙) 内踝尖端の上6寸、脛骨の後縁、陰陵泉三陰交との連線上に取る。 脛骨後縁とヒラメ筋の間、深層は長指屈筋 漏は滲み出ることで、谷陥凹を指す。本穴は、滲湿利尿の効があり、脛骨後縁の陥凹のところ。 腹脹、腸鳴、睾丸肥大、腿膝厥冷・麻痺、足踝腫痛、小便不利
健脾利湿、理気利尿
   
SP8 地機(ちき)、
脾舎
在膝下五寸(甲乙) 陰陵泉の下3寸、陰陵泉三陰交との連線上に取る。
(注1)
脛骨後縁とヒラメ筋の間 地は土地のこと脾土、機は要の意味。本穴は足太陰の郄穴で、気血が深く集まるところ。 腹脹、腹痛、食欲不振、泄瀉、痢疾、月経不順、月経痛、遺精、女子の下腹部の腫塊、腰痛不可俯仰、小便不利、水腫
血海治婦人経事
健脾和胃、調経止帯
郄穴  
SP9 陰陵泉(いんりょうせん) 在膝下内側輔骨下陥者中、伸足乃得之(甲乙) 脛骨内側顆下縁、陥凹部に取る。 脛骨後縁と腓腹筋の間、ヒラメ金の起始部の上方 膝の内側は陰、脛骨内側顆の高い突起を陵といい、内側顆下の陥凹を泉という。 腹脹、喘逆、水腫、黄疸、暴泄、小便不利か失禁、陰茎痛、婦人陰痛、遺精、膝痛
陽陵泉治失禁遺尿不自知
※1 ※2 ※3 健脾利湿、通利下焦
合水穴  
SP10 血海(けっかい)
百虫窠
在膝臏内廉白肉際二寸(銅人) 膝を屈し、膝蓋骨内側上縁の上2寸、大腿四頭筋、内側隆起に取る。 大腿骨内側上顆上縁で、内側広筋中 脾は統血をつかさどる。本穴は足太陰の脈気の発するところ。気血は戻り海に集まる。婦人調経之要穴 月経不順、月経痛、閉経、崩漏、股関節内側痛、皮膚湿疹、全身の掻痒感、湿瘡、皮膚の炎症、小便淋渋、気逆腹脹、子宮内膜炎
調経統血、健脾化湿
   
SP11 箕門(きもん) 在魚腹上越両筋間、動脈応手(甲乙) 血海の上6寸、縫工筋内側に取る。 縫工筋の内側縁で深層は大内転筋 箕は星座の名前(いて座)。本穴は大腿内側にあり、取穴には膝を曲げ足を外転させた姿が箕星に似ている所から。 小便不通、遺尿、鼠蹊部の腫痛、尿閉
健脾利湿、通利小便
   
SP12 衝門(しょうもん)、
慈宮
上去大横五寸、在府舎下横骨両方端約紋中動脈(甲乙) 仰臥位で、恥骨結合上縁に水平でその中点の外方3寸5分に取る。股関節横紋の外端上縁、大腿動脈外側に取る。 鼠径靱帯の中央、外側上方で外腹斜筋腱膜および内腹斜筋下部 衝は突進、衝撃、門は経気が流注する門戸をいう。本穴は鼠径部にあり、手を置くと強い脈の拍動に触れる。太陰脾経、陽明胃経の経気が流注する要衝 腹痛、少腹部から性器にかけての痛み、痔痛、小便不利、胎動不安
健脾化湿、調理下焦
  足太陰、足厥陰、陰維脈之会
SP13 府舎(ふしゃ) 腹結下三寸(甲乙) 仰臥して衝門の上7分、任脈の外方4寸のところに取る。(注2) 鼠径靱帯の中央上方外側で外腹斜筋腱膜および内腹斜筋下部 府は集まる、舎は居住する場所という意味。本穴は足太陰、足厥陰陰維脈の三つの経脈が交会する。すなわち経脈の気血が集まるところ。 腹痛、少腹部から性器にかけての痛み、腹満積聚、高熱下痢嘔吐
健脾理気、散瘀止痛
  足太陰、陰維、足厥陰之会
SP14 腹結(ふっけつ)、
腹屈、
腸結、
腸窟
大横下一寸三分(甲乙) 仰臥して府舎の上3寸、任脈の外方4寸、府舎大横の連線上に取る。(注3) 内外腹斜筋および腹横筋 結は結集の意味。腹気が結集し、腹内諸疾をつかさどる。本穴は腹中の積聚などの諸症に対し、臍周囲の痛み、泄瀉、便秘、腹脹、疝気、咳逆、気結胸腹などを主治とする。 臍の周囲の痛み、少腹部から性器にかけての痛み、腹寒泄瀉、腸炎、痢疾
理気散結、降逆止痛
   
SP15 大横(だいおう)
腎気
腹哀下三寸、直臍旁(甲乙) 仰臥位で神闕の外方4寸に取る。(注4) 内外腹斜筋および腹横筋 横は平らな状態。本穴は臍の真横にあり、中には大腸があるので大横の名がついた。 虚寒瀉痢、大便秘結、小腹痛
温中散寒、調理脾胃
  足太陰、陰維之会
SP16 腹哀(ふくあい) 日月下一寸五分(甲乙) 仰臥位で臍の上3寸、建里の外方4寸に取る。(注5) 内外腹斜筋および腹横筋 哀は鳴く、泣くの意味。本穴は腹部にあり腹痛腸鳴、便秘などの症状のときにお腹が悲鳴をあげて泣いているように聞こえることから。 臍の周囲痛、消化不良、便秘、痢疾
健脾和胃、理気調腸
  足太陰、陰維の会
SP17 食竇(しょくとく)
命関
天谿下一寸六分陥者中(甲乙) 仰臥位で中庭の外方6寸、第五肋間隙中に取る。 第五肋間、前鋸筋中、深層は内外肋間筋 食は食べ物、竇は空間の意味。飲食物が胃の通路に入ることを示している。 胸脇脹痛、腹脹腸鳴、食べたものを一定の時間後に吐く、食べるとすぐ吐く、げっぷ、水腫
健脾利湿、和胃降逆
   
SP18 天谿(てんけい) 胸郷下一寸六分陥者中、仰而取之(甲乙) 仰臥位で食竇の肋骨一つ上、任脈の外方6寸、第四肋間隙中に取る。 大胸筋の外下縁、下層は前鋸筋、深層は内外肋間筋 天は胸部、谿は肋間陥凹を指す。本穴は乳房のかたわら、第四肋間にあり、寛胸通乳の効果がある。 胸部疼痛、咳嗽、乳瘍、乳汁少
寛胸理気、通乳消腫
   
SP19 胸郷(きょうきょう) 周栄下一寸六分陥者中、仰而取之(甲乙) 仰臥位で天谿より肋骨一つ上、任脈の外方6寸、第三肋間隙中に取る。 大胸筋、小胸筋の外縁で前鋸筋、下層は内外肋間筋 郷は村で、胸郭の側を指す。本穴は正中線から6寸で、胸脇部にあり、胸部疾患を治す作用がある。 胸脇脹痛、胸引背痛不得臥
寛胸理気、降逆止痛
   
SP20 周栄(しゅうえい) 中府下一寸六分陥者中(甲乙) 仰臥位で胸部の上一つ肋骨分、任脈の外方6寸、第二肋間隙中に取る。 大胸筋、深層は小胸筋 周は周行、栄は栄養の意味。本穴は中府の下で、栄養を全身に輸布する。 胸脇脹満、咳嗽、気喘、季肋痛、嚥下困難
宣肺理気、化痰止咳
   
SP21 大包(だいほう) 淵腋下三寸(甲乙) 側臥位で上肢を挙げ、腋下6寸、腋下の中心線上、第六肋間隙中に取る。 前鋸筋 包には一括、統括などの意味がある。本穴は脾の大絡で、陰陽諸経の絡を統括する。 胸脇痛、気喘、全身疼痛、四肢無力
寛胸理気、温経通絡
脾の大絡  

「経穴概論」教科書小委員会著では
(注1)地機(SP8):内踝の上8寸、脛骨内側縁骨際。
(注2)府舎(SP13)腹結の下3寸、衝門の上7分に取る。
(注3)腹結(SP14)大横の下1寸3分に取る。
(注4)大横(SP15):臍の傍ら3寸5分に取る。
(注5)腹哀(SP16)大横の上3寸、建里の外方3寸5分に取る。

※1 穴位主治鑑別表
穴名 共同性 特殊性
三陰交 健脾和胃 偏于補益肝腎、調経止帯、治月経不暢、陽痿、遺精
陰陵泉 偏于通利下焦、利湿、治小便不利、水腫
※2 穴位主治鑑別表
穴名 共同性 特殊性
中極 利小便 増気化、昇水道以利小便
腎兪 補腎気而利小便
陰陵泉 助運化、利水湿而利水便
関元 補元陽而利小便
中極 治水要穴 偏于治下焦水病
水分 偏于治中焦水病
※3 穴位主治鑑別表
穴名 共同性 特殊性
気海 元気要穴、有鼓動、培補元気之功、用于元気不足
関元 陽気要穴、振奮、温補元陽、用于真陽不足
中極 水気要穴、摂利小便、多用于通摂水道
陰陵泉 湿気要穴、効能運化水湿、用于脾虚湿熱或湿困脾土

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