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チュンジョチョナプタンを食べた王子様が麻痺

王子様が、チュンジョチョナプタン(蟲草全鴨湯)を食べて麻痺してしまい、宮中は大騒ぎ。

チュンジョチョナプタン(冬虫夏草入り鴨の水炊きと訳されてました)の材料を確認するチャングム。
鴨、冬虫夏草、生姜、胡椒、塩、丁子、肉桂、草豆蔲(チョドゥグ)、朝鮮人参。

材料 五味 四性 効能
甘、鹹 滋陰養胃、利水消腫、健脾補虚
冬虫夏草 益腎補肺、止血化痰
生姜 微温 発表解表、温中止嘔、温肺止咳
胡椒 温中止痛
清火、涼血、解毒、涌吐
丁子 温中降逆、温腎助陽
肉桂 辛、甘 補火助陽、散寒止痛、温痛経脈
草豆蔲 健脾燥湿、散寒、温胃止嘔
朝鮮人参 甘、微苦 微温 大補元気、補脾益肺、生津止渇、安神益智

滋養効果がある材料が、ズラリと並んでいます。

結局、王子様が処方されていた肉豆蔲の油と、チュンジョチョナプタンの中の朝鮮人参との相性が悪かったために、肉豆蔲の油に含まれる麻痺成分の効き目が増大して、起きたことだと判明します。
「肉豆蔲の油」とは聞き慣れないことば、そんなことってあるのかしら、と思っていたら、この話の裏話がMBCに載っていました。

www.chikai.jp/medical/bbs.asp?pg=15&rep=4

ニクズクを使用する際には、小麦粉を包んで焼いた後、油を除いて使わなければなりません。 このような内容はニクズクの油に毒性があるという傍証です。
薬理学的にもニクズクの油には強い麻痺効果があると報告されています。
人参とニクズクに関する内容に一部誤解がありましたが、あくまでもドラマの劇的構成のためにニクズクの油にある麻痺効果を利用して設定したのだとご理解いただけますと...

諮問チームも、チャングムの味覚をなくしても言語障害を起こしてはならず、毒薬だと王子様が食べる可能性が低いということで、何にするべきかずい分悩んだそうです。
ドラマにするときは、劇的な方が楽しいですものね。

方剤としては、
長く下痢をしている人に良い「真人養臓湯」の組成が、
人参 6g、当帰9g、白朮12g、肉豆蔲 12g、肉桂3g、炙甘草6g、白芍15g、木香9g、訶子12g、炙罌粟殻20g

消化能力が落ちている人に良い「健脾丸」の組成が、
炒白朮75g、木香・酒黄連・甘草各22g、茯苓60g、人参 45g、炒神曲・陳皮・砂仁・炒麦芽・山楂子・山薬・肉豆蔲 各30g

となっており、人参と肉豆蔲が一緒に配合されています(通常、中医学で人参というと朝鮮人参のことです)し、朝鮮人参とナツメグ(肉豆蔲)の食べ合わせが悪いということではありません。
ナツメグ入りのハンバーグを食べて、独参湯(人参のみの飲物)を飲むなんて組み合わせ、ごくごく普通にありそうな光景です。

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